経営法務(令和5年度)

目次

令和5年度 過去問 経営法務

第1問 株主総会に関する問題

 株主総会に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 株主総会の報告事項及び決議事項について、株主総会における決議及び報告のいずれも省略することが可能となった場合、株主総会の開催を省略することができるため、株主総会議事録の作成も不要となる。

イ 公開会社ではない会社及び公開会社のいずれの会社においても、取締役又は株主が提案した株主総会の目的である事項について、当該提案につき議決権を行使することができる株主の全員から書面又は電磁的方法により同意の意思表示があったときは、当該提案を可決する旨の決議があったものとみなされる。

ウ 公開会社ではない会社においては、株主総会は、株主全員の同意があるときは招集手続を経ることなく開催することができるが、公開会社においては、定款に書面による議決権行使及び電磁的方法による議決権行使に関する定めがあるか否かにかかわらず、株主全員の同意があっても、招集手続を経ることなく株主総会を開催することはできない。

エ 公開会社ではない会社においては、取締役が株主の全員に対して株主総会に報告すべき事項を通知した場合において、当該事項を株主総会に報告することを要しないことについて株主の全員が書面又は電磁的方法により同意の意思表示をしたときは、当該事項の株主総会への報告があったものとみなされるが、公開会社においては、このような株主全員の同意の意思表示があっても、当該事項の株主総会への報告があったものとみなされない。

 第1問 解答

 イ

第2問 監査役設置会社に関する問題

 監査役会設置会社における取締役及び監査役の株主総会における選任と解任の決議に関する事項の記述として、最も適切なものはどれか。

ア 取締役及び監査役の解任に関する株主総会の決議は、いずれも、定款に定めることにより、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行うとすることができる。

イ 取締役及び監査役の解任に関する株主総会の決議は、いずれも、定款に別段の定めがない場合、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行わなければならない。

ウ 取締役及び監査役の選任に関する株主総会の決議は、いずれも、定款に定めることにより、議決権を行使することができる株主の議決権の5分の1を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行うとすることができる。

エ 取締役及び監査役の選任に関する株主総会の決議は、いずれも、定款に別段の定めがない場合、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行わなければならない。

 第2問 解答

 エ

第3問 会社法に関する問題

 監査役会設置会社における取締役会の会社法の定めに関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、本問における取締役会は特別取締役による取締役会は考慮しないものとする。

ア 会社法上、監査役は、必要があると認めるときは、取締役に対し、取締役会の招集を請求することができるとされているが、いかなる場合においても監査役自らが取締役会を招集することはできないとされている。

イ 会社法上、定款又は取締役会で定めた取締役が取締役会を招集する場合、取締役会の招集通知には、取締役会の日時及び場所並びに取締役会の目的事項を記載しなければならないとされている。

ウ 会社法上、取締役会の招集通知は、各取締役の他に、各監査役に対しても発しなければならないとされている。

エ 会社法上、取締役会の招集通知は、定款で定めることにより、取締役会の日の1 週間前までに発する必要はなくなるが、その場合でも取締役会の日の3 日前までには発しなければならないとされている。

 第3問 解答

 ウ

第4問 監査役に関する問題

 監査役会設置会社における監査役に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 監査役の報酬は、その額を定款で定めていないときは、取締役会の決議で定めなければならない。

イ 監査役は、当該会社の業務及び財産の状況の調査をすることができる。

ウ 監査役は、当該会社の取締役・使用人、子会社の取締役を兼ねることができないが、子会社の使用人については兼ねることができる。

エ 監査役は、取締役が法令に違反する行為をするおそれがある場合において、当該行為によって当該会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときであっても、監査役会の決議を経なければ、当該行為の差止めを請求することができない。

 第4問 解答

 イ

第5問(1) 株式会社の設立に関する問題

 以下の会話は、株式会社の設立を考えている甲氏と中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。なお、甲氏は、定款を書面で作成することを考えている。

甲 氏:「これまで、個人で事業を行っていましたが、事業が軌道に乗ってきたので、株式会社を設立したいと思います。新しく設立する会社が発行する株式については、私が引き受ける他に、私の父が設立したX株式会社と私の友人である乙氏にも引き受けてもらうことになっています。ちょっと調べたところ、株式会社を設立する場合には、定款に発起人が署名または記名押印をしなければならないと聞きました。私は発起人になることにしていますが、乙氏も発起人にならなければならないのでしょうか。」
あなた:「[ A ] 。」
甲 氏:「ありがとうございます。では、X株式会社は発起人になることはできるのでしょうか。」
あなた:「[ B ] 。」
甲 氏:「また、株式会社を設立するに際しては、取締役を選任しなければならないと聞きました。会社法では、私は取締役に必ず就任しなければならないのでしょうか。」
あなた:「[ C ] 。」
甲 氏:「定款では、その設立時取締役の定めはしない予定なのですが、この場合、設立時取締役というのは、どのような手続で選任することになるのでしょうか。」
あなた:「[ D ] 。」
甲 氏:「いろいろとありがとうございます。分からないことがあったら、またお伺いします。」
あなた:「お気軽にご相談ください。必要があれば、知り合いの弁護士を紹介します。」

(設問1 )
 会話の中の空欄AとBに入る記述の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

ア A:発起設立、募集設立のいずれの場合でも、乙氏は発起人にならなければなりません
  B:X株式会社は法人なので、発起人になることはできません

イ A:発起設立、募集設立のいずれの場合でも、乙氏は発起人にならなければなりません
  B:法人も発起人になることができますので、X株式会社も発起人になることができます

ウ A:発起設立によって株式会社を設立する場合には乙氏は発起人にならなければなりませんが、募集設立によって株式会社を設立する場合には、必ずしも乙氏は発起人になる必要はありません
  B:X株式会社は法人なので、発起人になることはできません

エ A:発起設立によって株式会社を設立する場合には乙氏は発起人にならなければなりませんが、募集設立によって株式会社を設立する場合には、必ずしも乙氏は発起人になる必要はありません
  B:法人も発起人になることができますので、X株式会社も発起人になることができます

 第5問(1) 解答

 エ

第5問(2) 株式会社の設立に関する問題

 以下の会話は、株式会社の設立を考えている甲氏と中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。なお、甲氏は、定款を書面で作成することを考えている。

甲 氏:「これまで、個人で事業を行っていましたが、事業が軌道に乗ってきたので、株式会社を設立したいと思います。新しく設立する会社が発行する株式については、私が引き受ける他に、私の父が設立したX株式会社と私の友人である乙氏にも引き受けてもらうことになっています。ちょっと調べたところ、株式会社を設立する場合には、定款に発起人が署名または記名押印をしなければならないと聞きました。私は発起人になることにしていますが、乙氏も発起人にならなければならないのでしょうか。」
あなた:「[ A ] 。」
甲 氏:「ありがとうございます。では、X株式会社は発起人になることはできるのでしょうか。」
あなた:「[ B ] 。」
甲 氏:「また、株式会社を設立するに際しては、取締役を選任しなければならないと聞きました。会社法では、私は取締役に必ず就任しなければならないのでしょうか。」
あなた:「[ C ] 。」
甲 氏:「定款では、その設立時取締役の定めはしない予定なのですが、この場合、設立時取締役というのは、どのような手続で選任することになるのでしょうか。」
あなた:「[ D ] 。」
甲 氏:「いろいろとありがとうございます。分からないことがあったら、またお伺いします。」
あなた:「お気軽にご相談ください。必要があれば、知り合いの弁護士を紹介します。」

(設問2 )
 会話の中の空欄CとDに入る記述の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。なお、定款では設立時取締役として定められた者はいないものとする。

ア C:いいえ。設立時取締役は必ずしも発起人でなくてもよいので、必ずしも甲氏が設立時取締役になる必要はありません
  D:発起設立、募集設立のいずれの場合も、発起人全員の同意によって選任することになります

イ C:いいえ。設立時取締役は必ずしも発起人でなくてもよいので、必ずしも甲氏が設立時取締役になる必要はありません
  D:発起設立の場合は、発起人の議決権の過半数により、募集設立の場合は、創立総会の決議によって選任することになります

ウ C:はい。甲氏は発起人ですので、必ず設立時取締役にならなければなりません
  D:発起設立の場合は、発起人全員の同意により、募集設立の場合は、創立総会の決議によって選任することになります

エ C:はい。甲氏は発起人ですので、必ず設立時取締役にならなければなりません
  D:発起設立の場合は、発起人の議決権の過半数により、募集設立の場合は、創立総会の決議によって選任することになります

 第5問(2) 解答

 イ

第6問(1) 吸収合併と事業譲渡

 以下の会話は、X株式会社の代表取締役である甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。
 なお、本問における吸収合併の手続においては、X株式会社を消滅会社とすることを念頭に置いている。

甲 氏:「このたび、X株式会社の事業の全部を譲渡することを考えており、譲渡先を探していたところ、取引先であるY株式会社から、X株式会社の事業の全部を譲り受けてもよいという話がありました。知人に聞いたところ、X株式会社の事業の全部をY株式会社に移管する方法としては、事業譲渡の他に吸収合併という方法もあるという話をしていました。取引先への商品代金の支払債務について、事業譲渡と吸収合併によって違いはあるのでしょうか。」
あなた:「[ A ] 。」
甲 氏:「なるほど。ありがとうございます。では、吸収合併と事業譲渡で、Y株式会社から受け取る対価に違いはあるのでしょうか。」
あなた:「[ B ] 。」
甲 氏:「では、Y株式会社に吸収合併又は事業譲渡ですべての事業を移管した場合、X株式会社はどうなるのでしょうか。」
あなた:「[ C ] 。」
甲 氏:「なかなか悩ましいですね。実は、Y株式会社の他に、私の知人である乙氏からX株式会社の事業の全部を承継してもよいという話も聞いています。乙氏は会社を設立しておらず、個人で事業を行っているのですが、事業譲渡や吸収合併は、相手先が会社でなくてもすることができるのでしょうか。」
あなた:「[ D ] 。」
甲 氏:「分かりました。今日のお話を踏まえ、スキームを検討します。また、ご相談させてください。」
あなた:「必要があれば、弁護士を紹介しますので、お気軽にご相談ください。」

(設問1 )
 会話の中の空欄[ A ] と[ B ] に入る記述の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

ア A:吸収合併、事業譲渡いずれの場合でも、X株式会社の債務は当然にY株式会社に承継されます
  B:吸収合併、事業譲渡のいずれの対価も金銭に限られません

イ A:吸収合併の場合は、X株式会社の債務は当然にY株式会社に承継されますが、事業譲渡の場合には、債権者の承諾を得なければ、X株式会社の債務をY株式会社に承継させて、X株式会社がその債務を免れるということはできません
  B:吸収合併、事業譲渡のいずれの対価も金銭に限られません

ウ A:吸収合併の場合は、X株式会社の債務は当然にY株式会社に承継されますが、事業譲渡の場合には、債権者の承諾を得なければ、X株式会社の債務をY株式会社に承継させて、X株式会社がその債務を免れるということはできません
  B:吸収合併の対価はY株式会社の株式であることが必要ですが、事業譲渡の対価はY株式会社の株式に限られず、金銭によることも可能です

エ A:吸収合併の場合は、X株式会社の債務は当然にY株式会社に承継されますが、事業譲渡の場合には、債権者の承諾を得なければ、X株式会社の債務をY株式会社に承継させて、X株式会社がその債務を免れるということはできません
  B:吸収合併の対価は金銭であることが必要ですが、事業譲渡の対価は金銭に限られません

 第6問(1) 解答

 イ

第6問(2) 吸収合併と事業譲渡

 以下の会話は、X株式会社の代表取締役である甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。
 なお、本問における吸収合併の手続においては、X株式会社を消滅会社とすることを念頭に置いている。

甲 氏:「このたび、X株式会社の事業の全部を譲渡することを考えており、譲渡先を探していたところ、取引先であるY株式会社から、X株式会社の事業の全部を譲り受けてもよいという話がありました。知人に聞いたところ、X株式会社の事業の全部をY株式会社に移管する方法としては、事業譲渡の他に吸収合併という方法もあるという話をしていました。取引先への商品代金の支払債務について、事業譲渡と吸収合併によって違いはあるのでしょうか。」
あなた:「[ A ] 。」
甲 氏:「なるほど。ありがとうございます。では、吸収合併と事業譲渡で、Y株式会社から受け取る対価に違いはあるのでしょうか。」
あなた:「[ B ] 。」
甲 氏:「では、Y株式会社に吸収合併又は事業譲渡ですべての事業を移管した場合、X株式会社はどうなるのでしょうか。」
あなた:「[ C ] 。」
甲 氏:「なかなか悩ましいですね。実は、Y株式会社の他に、私の知人である乙氏からX株式会社の事業の全部を承継してもよいという話も聞いています。乙氏は会社を設立しておらず、個人で事業を行っているのですが、事業譲渡や吸収合併は、相手先が会社でなくてもすることができるのでしょうか。」
あなた:「[ D ] 。」
甲 氏:「分かりました。今日のお話を踏まえ、スキームを検討します。また、ご相談させてください。」
あなた:「必要があれば、弁護士を紹介しますので、お気軽にご相談ください。」

(設問2 )
 会話の中の空欄[ C ] と[ D ] に入る記述の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

ア C:吸収合併、事業譲渡のいずれの場合も、X株式会社は当然に解散します
  D:吸収合併、事業譲渡のいずれの場合も、相手先は会社である必要があります

イ C:吸収合併、事業譲渡のいずれの場合も、X株式会社は当然に解散します
  D:吸収合併の場合は、相手先は会社である必要がありますが、事業譲渡の場合は相手先が会社である必要はありません

ウ C:吸収合併、事業譲渡のいずれの場合も、X株式会社は当然には解散しません
  D:吸収合併、事業譲渡のいずれの場合も、相手先は会社である必要があります

エ C:吸収合併の場合は、X株式会社は当然に解散しますが、事業譲渡の場合は当然には解散しません
  D:吸収合併の場合は、相手先は会社である必要がありますが、事業譲渡の場合は相手先が会社である必要はありません

 第6問(2) 解答

 エ

第7問 独占禁止法

 独占禁止法が定める課徴金減免制度に関する記述として、最も適切なものはどれか。
 なお、令和2年12月25 日改正後の制度によるものとし、本問においては、いわゆる調査協力減算制度における協力度合いに応じた減算率は考慮しないものとする。

ア 課徴金減免制度における申請方法は、所定の報告書を公正取引委員会に郵送又は持参することにより提出する方法に限られ、電話により口頭で伝える方法や電子メールにより所定の報告書を送信する方法は認められていない。
イ 課徴金減免制度の対象は、いわゆるカルテルや入札談合といった不当な取引制限行為の他に、優越的地位の濫用行為も含まれる。
ウ 調査開始後に課徴金減免申請を行った場合、調査開始前に課徴金減免申請を行った者がおらず、かつ、調査開始後の課徴金減免申請の申請順位が1位の場合であっても、申請順位に応じた課徴金の減免を一切受けることはできない。
エ 調査開始前に単独で課徴金減免申請を行い、その申請順位が1位の場合、申請順位に応じた減免率は100%(全額免除)である。

 第7問 解答

 エ

第8問 民事再生手続きにおける双務契約

 民事再生手続における双務契約の取り扱いに関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、別段の意思表示はないものとする。

ア 再生債務者に対して売買契約に基づき継続的給付の義務を負う双務契約の相手方は、再生手続開始決定の申立て前の給付に係る再生債権について、弁済がないことを理由として、再生手続開始後は、その義務の履行を拒むことができない。
イ 再生手続開始前に再生債務者の債務不履行により解除権が発生していたとしても、相手方は、再生手続開始後は当該契約を解除することができない。
ウ 注文者につき再生手続開始決定があった場合、請負人は、再生手続開始決定があったことを理由に当該請負契約を解除することができる。
エ 賃貸人につき再生手続開始決定があった場合、賃借人が対抗要件を具備していたとしても、賃貸人は、双方未履行の双務契約であることを理由に当該賃貸借契約を解除することができる。

 第8問 解答

 ア

第9問 特許法に関する問題

 特許法に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 物の発明において、その物を輸出する行為は、その発明の実施行為に該当しない。
イ 物の発明において、その物を輸入する行為は、その発明の実施行為に該当しない。
ウ 物を生産する装置の発明において、その装置により生産した物を譲渡する行為は、その発明の実施行為に該当しない。
エ 物を生産する方法の発明において、その方法を使用する行為は、その発明の実施行為に該当しない。

 第9問 解答

 ウ

第10問 特許法及び実用新案法に関する問題

 特許法及び実用新案法に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 国内優先権制度は、特許法と実用新案法のいずれにも規定されている。
イ 出願公開制度は、特許法と実用新案法のいずれにも規定されている。
ウ 不実施の場合の通常実施権の設定の裁定制度は、特許法には規定されているが、実用新案法には規定されていない。
エ 物を生産する方法は、特許法上の発明と、実用新案法上の考案のいずれにも該当する。

 第10問 解答

 ア

第11問 特許法に関する問題

 特許法に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なくても、その持分を譲渡することができる。
イ 特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その特許権について他人に通常実施権を許諾することができない。
ウ 特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、特許法第38条の規定により、他の共有者と共同でなくとも、特許出願をすることができる。
エ 特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なくても、その特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、仮専用実施権を設定することができる。

 第11問 解答

 イ

第12問 不正競争防止法に関する問題

 不正競争防止法に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 不正競争防止法第2条第1項第1号に規定する、いわゆる周知表示混同惹起行為において、「商品の包装」は「商品等表示」に含まれない。
イ 不正競争防止法第2条第1項第2号に規定する、いわゆる著名表示冒用行為と認められるためには、他人の商品又は営業と混同を生じさせることが1つの要件となる。
ウ 不正競争防止法第2条第1項第4号乃至第10号に規定される営業秘密に該当するには、秘密管理性、独創性、新規性の3つの要件を満たすことが必要である。
エ 不正競争防止法第2条第1項各号でいう「不正競争」として、「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為」が同法に規定されている。

 第12問 解答

 エ

第13問 商標法に関する問題

 商標法に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 商標登録出願人は、商標登録出願を意匠登録出願に変更することができる旨が、商標法に規定されている。
イ 商標法には出願公開制度が規定されている。
ウ 商標法の目的を規定した商標法第1 条は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図ることを目的として規定しており、需要者の利益を保護することまでは目的として規定していない。
エ 防護標章登録出願人は、査定又は審決が確定した後でもその防護標章登録出願を商標登録出願に変更することができる旨が、商標法に規定されている。

 第13問 解答

 イ

問14問 特許出願に関する問題

 以下の会話は、衣服メーカーの社長である甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。
 この会話の中の空欄AとBに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを次ページの解答群から選べ。

甲 氏:「当社開発部が今までにない毛玉取り器の開発に成功したため、半年前に実用新案登録出願をして、実質的に無審査なのですぐに実用新案登録されました。最近、この毛玉取り器が結構、話題になって、当社の主力商品になりつつあります。実用新案権は存続期間が短いので、特許を取りたいのですが、何かよい方法はありませんか。」
あなた:「確かに、特許権の存続期間は、原則として、特許法上Aから20年と権利が長いですから、特許を取った方がベターですよね。自己の実用新案登録に基づいて特許出願をすることができる、と聞いたことがあります。いろいろと要件はあるようですが、1 つの要件として、その実用新案登録に係る実用新案登録出願の日から原則として、Bを経過していると、実用新案登録に基づく特許出願はできません。その手続きをされる場合には、知り合いの弁理士さんを紹介できますよ。」
甲 氏:「よろしくお願いします。」

〔解答群〕

ア A:特許権の設定登録の日
  B:18カ月

イ A:特許出願が出願公開された日
  B:18カ月

ウ A:特許出願の日
  B:1 年

エ A:特許出願の日
  B:3 年

 第14問 解答

 エ

第15問 商標に関する問題

 以下の会話は、英会話スクールを立ち上げる予定の甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。
 この会話の中の空欄AとBに入る記述の組み合わせとして、最も適切なものを次ページの解答群から選べ。

甲 氏:「英会話スクールの名前である「〇〇〇〇〇」という文字商標を、「語学の教授」という役務を指定して商標登録出願する予定です。この他に「翻訳、通訳」の業務も行う予定なので、スクール名と同じ「〇〇〇〇〇」の商標を「翻訳、通訳」の役務を指定して商標登録出願したいと思います。これらの役務を1 つの商標登録出願に含めることは可能ですか。」
あなた:「[ A ] 。」

・・・中略・・・

甲 氏:「この他、うちのスクールの宣伝として流すオリジナルのメロディーを、私が作曲しました。これも商標として登録することは認められますか。」
あなた:「[ B ] 。」

・・・中略・・・

あなた:「いずれにしても弁理士をご紹介しますので、詳しくはその方にお尋ねになってください。」

〔解答群〕

ア A:商標が同じであっても、複数の役務を1つの出願に含めることはできません
  B:音からなる商標を登録することは、制度上認められています

イ A:商標が同じであっても、複数の役務を1つの出願に含めることはできません
  B:音からなる商標を登録することは、制度上認められません

ウ A:商標が同じであれば、複数の役務を1つの出願に含めることができます
  B:音からなる商標を登録することは、制度上認められています

エ A:商標が同じであれば、複数の役務を1つの出願に含めることができます
  B:音からなる商標を登録することは、制度上認められません

 第15問 解答

 ウ

第16問(1) 海外との取引契約に関する問題

 以下の会話は、X株式会社の代表取締役である甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。

甲 氏:「弊社は、米国ニューヨーク市に本拠を置くY社から商品を輸入し、国内で販売しようと考えています。それに当たって、Y社から届いた契約書案を検討しているのですが、以下の条項はどのような内容でしょうか。」

1. This Agreement shall be governed by and construed in accordance with the laws of the state of New York, the United States of America, without reference to conflict of laws principle.
2. All dispute arising out of or in connection with this Agreement, including any question regarding its existence, validity or termination, shall be referred to and finally resolved by arbitration in New York City, New York, the United States of America by the American Arbitration Association in accordance with the Arbitration Rules of the American Arbitration Association.

あなた:「1 項は[ A ] を定めており、2 項は[ B ] を規定しております。御社は日本でY社から輸入した商品を販売されるとのことですので、準拠法は日本法で提案するのはいかがでしょうか。」
甲 氏:「ありがとうございます。その点については、Y社と交渉しようと思います。裁判と仲裁はどのような違いがあるのでしょうか。」
あなた:「それぞれメリット・デメリットがありますので、その点も含めて、知り合いの弁護士を紹介しますので、相談に行きませんか。」
甲 氏:「ぜひ、よろしくお願いします。」

(設問1 )
 会話の中の空欄[ A ] と[ B ] に入る記述として、最も適切なものはどれか。

ア A:本契約がアメリカ合衆国ニューヨーク州法に準拠し、同法に従って解釈されること
  B:本契約から、または本契約に関連して発生するすべての紛争はニューヨーク市における米国仲裁協会による仲裁に付託され、最終的に解決されること

イ A:本契約がアメリカ合衆国ニューヨーク州法に準拠し、同法に従って解釈されること
  B:本契約から、または本契約に関連して発生するすべての紛争はニューヨーク市の連邦地方裁判所の管轄に属すること

ウ A:本契約がアメリカ合衆国の連邦法に準拠し、同法に従って解釈されること
  B:本契約から、または本契約に関連して発生するすべての紛争はニューヨーク市における米国仲裁協会による仲裁に付託され、最終的に解決されること

エ A:本契約がアメリカ合衆国の連邦法に準拠し、同法に従って解釈されること
  B:本契約から、または本契約に関連して発生するすべての紛争はニューヨーク市の連邦地方裁判所の管轄に属すること

 第16問(1) 解答

 ア

問16問(2) 裁判と仲裁に関する問題

 以下の会話は、X株式会社の代表取締役である甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。

甲 氏:「弊社は、米国ニューヨーク市に本拠を置くY社から商品を輸入し、国内で販売しようと考えています。それに当たって、Y社から届いた契約書案を検討しているのですが、以下の条項はどのような内容でしょうか。」

1. This Agreement shall be governed by and construed in accordance with the laws of the state of New York, the United States of America, without reference to conflict of laws principle.
2. All dispute arising out of or in connection with this Agreement, including any question regarding its existence, validity or termination, shall be referred to and finally resolved by arbitration in New York City, New York, the United States of America by the American Arbitration Association in accordance with the Arbitration Rules of the American Arbitration Association.

あなた:「1 項は[ A ] を定めており、2 項は[ B ] を規定しております。御社は日本でY社から輸入した商品を販売されるとのことですので、準拠法は日本法で提案するのはいかがでしょうか。」
甲 氏:「ありがとうございます。その点については、Y社と交渉しようと思います。裁判と仲裁はどのような違いがあるのでしょうか。」
あなた:「それぞれメリット・デメリットがありますので、その点も含めて、知り合いの弁護士を紹介しますので、相談に行きませんか。」
甲 氏:「ぜひ、よろしくお願いします。」

(設問2 )
 会話の中の下線部の裁判と仲裁に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、本設問における裁判と仲裁に関する記述は、日本法を前提に考えるものとする。

ア 外国仲裁判断の承認および執行に関するニューヨーク条約の加盟国でなされた仲裁判断については、原則として、その加盟国において執行することができる。
イ 裁判と仲裁は、双方とも原則公開の手続きであり、その判断は公開される。
ウ 仲裁は、裁判のように勝ち負けを決めるのではなく、話合いによりお互いが合意することで紛争の解決を図るもので、合意ができなかった場合には不成立となる。
エ 仲裁は、仲裁判断に不服がある場合、原則裁判所に不服申立をすることができる。

 第16問(2) 解答

 ア

問17問(1) 相続と事業承継

 以下は、中小企業診断士であるあなたと、X株式会社の代表取締役甲氏との会話である。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。なお、甲氏には、長男、次男、長女の3 人の子ども(いずれも嫡出子)がいる。

甲 氏:「そろそろ後継者に会社を任せようと思っています。私には3人の子供がいるのですが、次男に自社の株式や事業用の資産を集中して承継させたく、生前贈与等を考えています。」
あなた:「原則として、ご自身の財産をどのように処分するのも自由ですが、民法は、遺族の生活の安定や最低限度の相続人間の平等を確保するために、一定の相続人のために法律上必ず留保されなければならない遺産の一定割合を定めております。この制度を[   ] といい、生前贈与や遺言の内容によっては、株式や事業用資産を承継したご次男が、他の相続人の[   ] を侵害したとして、その侵害額に相当する金銭の支払を請求される可能性があります。場合によっては、承継した株式や事業用資産を売却せざるをえない事態もありえますので、注意が必要です。」
甲 氏:「将来もめずにうまく会社を引き継ぐ方法はないですか。」
あなた:「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律、いわゆる経営承継円滑化法に、民法の特例が設けられています。先代経営者から後継者に贈与等された自社株式について、一定の要件を満たしていることを条件に、[   ] の算定の基礎となる相続財産から除外するなどの取り決めが可能です。これにより、後継者が確実に自社株式を承継することができます。必要があれば、知り合いの弁護士を紹介します。」

(設問1 )
 会話の中の空欄に入る用語として、最も適切なものはどれか。

ア 遺留分
イ 寄与分
ウ 指定相続分
エ 法定相続分

 第17問(1) 解答

 ア

問17問(2) 相続と事業承継

 以下は、中小企業診断士であるあなたと、X株式会社の代表取締役甲氏との会話である。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。なお、甲氏には、長男、次男、長女の3 人の子ども(いずれも嫡出子)がいる。

甲 氏:「そろそろ後継者に会社を任せようと思っています。私には3人の子供がいるのですが、次男に自社の株式や事業用の資産を集中して承継させたく、生前贈与等を考えています。」
あなた:「原則として、ご自身の財産をどのように処分するのも自由ですが、民法は、遺族の生活の安定や最低限度の相続人間の平等を確保するために、一定の相続人のために法律上必ず留保されなければならない遺産の一定割合を定めております。この制度を[   ] といい、生前贈与や遺言の内容によっては、株式や事業用資産を承継したご次男が、他の相続人の[   ] を侵害したとして、その侵害額に相当する金銭の支払を請求される可能性があります。場合によっては、承継した株式や事業用資産を売却せざるをえない事態もありえますので、注意が必要です。」
甲 氏:「将来もめずにうまく会社を引き継ぐ方法はないですか。」
あなた:「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律、いわゆる経営承継円滑化法に、民法の特例が設けられています。先代経営者から後継者に贈与等された自社株式について、一定の要件を満たしていることを条件に、[   ] の算定の基礎となる相続財産から除外するなどの取り決めが可能です。これにより、後継者が確実に自社株式を承継することができます。必要があれば、知り合いの弁護士を紹介します。」

(設問2 )
 会話の中の下線部について、経営承継円滑化法における民法の特例に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 経営承継円滑化法における民法の特例を受けることができるのは、中小企業者のみで、個人事業主の場合は、この特例を受けることはできない。
イ 経営承継円滑化法における民法の特例を受けるためには、会社の先代経営者からの贈与等により株式を取得したことにより、後継者は会社の議決権の3分の1を保有していれば足りる。
ウ 経営承継円滑化法における民法の特例を受けるためには、経済産業大臣の確認と家庭裁判所の許可の双方が必要である。
エ 経営承継円滑化法における民法の特例を受けるためには、推定相続人全員の合意までは求められておらず、過半数の合意で足りる。

 第17問(2) 解答

 ウ

第18問 製造物責任に関する問題

 製造物責任に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 外国から輸入した製品の欠陥により損害が発生した場合、輸入事業者は製造物責任法による損害賠償責任を負わない。
イ 製造物責任法は、過失責任が原則である民法の不法行為責任(民法第709条)の特例として定められたもので、製造業者等の過失や、過失と欠陥の因果関係の証明に代えて、被害者が製品に欠陥があることと、その欠陥と損害との因果関係を証明すれば、損害賠償を請求できるようにしたものである。
ウ 製造物の欠陥によって、他人の財産等に損害が発生しておらず、製造物自体に損害が発生したのみであっても、製造業者は製造物責任法による損害賠償責任を負う。
エ 製品の製造は行わず、製造物にその製造業者と誤認させるような氏名の表示をしただけの者は、製造物責任法による損害賠償責任を負わない。

 第18問 解答

 イ

問19問 景表法に関する問題

 不当景品類及び不当表示防止法(以下「景表法」という。)で定義される表示に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 景表法上、比較広告を行うことは一律禁止されている。
イ 消費者庁長官から、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求められ、当該資料を提出しなかった場合、景表法に違反する表示とみなされる。
ウ 商品の品質に関して不当表示が行われた場合、景表法の規制対象となるのは不当な表示を行った事業者であって、その表示内容の決定に関与しただけの事業者は、景表法の規制対象とはならない。
エ 優良誤認表示及び有利誤認表示に該当するには、表示をした事業者の故意又は過失が必要である。

 第19問 解答

 イ

問20問 権利の共有に関する問題

 共有に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、別段の意思表示はないものとする。

ア 意匠権の各共有者は、その登録意匠をその持分に応じて実施をすることができる。
イ 商標権の各共有者は、他の共有者の同意を得なくてもその持分を譲渡することができる。
ウ 著作権の各共有者は、自ら複製等の著作権の利用をする場合でも、他の共有者全員の同意が必要である。
エ 不動産の各共有者は、共有物の全部について、自己の持分に関係なく使用をすることができる。

 第20問 解答

 ウ

問21問 相殺に関する問題

 相殺に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、別段の意思表示はないものとする。

ア 差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え前から有していた差押債務者に対する債権を自働債権とする相殺をもって差押債権者に対抗することができない。
イ 相殺の意思表示は、双方の債務が互いに相殺に適するようになった時にさかのぼってその効力を生ずる。
ウ 不法行為から生じた債権を自働債権として相殺することはできない。
エ 弁済期が到来していない債権の債務者は、その債権を受働債権として相殺することができない。

 第21問 解答

 イ

学習お疲れさまでした。
合格を目指して引き続き頑張ってください、応援しています!

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