企業経営理論(令和5年度)

目次

令和5年度 過去問 企業経営理論

第1問 ドメイン

 ドメインに関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア PPMを用いた事業間の資源配分の決定を基に、企業ドメインが決定される。
イ 企業ドメインには、多角化の広がりの程度、個別事業の競争戦略の方針、差別化の在り方および日常のオペレーションといった内容が含まれる。
ウ 経営者は事業間でシナジー効果がどれくらい働くのかを考えて、企業ドメインを決定する。
エ 事業ドメインには、部門横断的な活動や他の事業分野との関連性、将来の企業のあるべき姿や経営理念といった内容が含まれる。

 第1問 解答

 ウ

第2問 VRIOフレームワーク

 J. B.バーニーが提唱した「VRIOフレームワーク」に則った記述として、最も適切なものはどれか。

ア 外部環境の機会を適切に捉えた価値がある経営資源であれば、業界内において希少でなくても、持続的な競争優位の源泉となる。
イ 価値があり、業界内において希少で、別の経営資源で代替される可能性が少ない経営資源を保有していても、それが組織体制とコンフリクトを起こすようであれば、組織体制を変更せずに経営資源を見直さなければならない。
ウ 価値が高く、業界内で希少な経営資源では、一時的な競争優位を得ることはできない。
エ 業界内で模倣困難かつ希少で価値ある経営資源を有していても、競争優位性を持続的に確立できないことがある。

 第2問 解答

 エ

第3問 5フォース分析

 下表では、業界A~Eの競争状況が示されている。M.ポーターの「業界の構造分析(5フォース分析)」に基づき、既存企業間の対抗度の最も低い業界を下記の解答群から選べ。ただし、他の条件は全て等しいものとする。

〔解答群〕

ア 業界A
イ 業界B
ウ 業界C
エ 業界D
オ 業界E

 第3問 解答

 イ

第4問 経験曲線効果

 経験曲線効果を用いた価格戦略に関する以下の記述について、空欄A~Cに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 それまでにない全く新しい製品を発売する場合や、製品自体の存在が認識されておらず市場がなかなか拡大しない場合、製品ライフサイクルの初期段階でコストリーダーとなるためには、[ A ] 戦略をとる必要がある。この戦略は、需要を喚起させるために思い切った低価格を設定し、ライバル企業よりも先に自社製品の生産数量および販売数量を増やすというものである。当該製品の経験曲線効果が[ B ] 、コスト低下のペースが[ C ] 場合、この戦略はより効果的である。

〔解答群〕

ア A:上澄み価格  B:大きく  C:速い
イ A:上澄み価格  B:小さく  C:遅い
ウ A:上澄み価格  B:小さく  C:速い
エ A:浸透価格   B:大きく  C:速い
オ A:浸透価格   B:小さく  C:遅い

 第4問 解答

 エ

第5問 競争地位別戦略

 下表では、ある市場のある年度におけるメーカー企業(企業A~D)の売上高(売上数量と売上金額)が示されている。「競争地位別戦略」に基づいた、各社のとる戦略に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

〔解答群〕

ア 企業Aは、数量シェアを増加させるために、積極的に価格を下げる。
イ 企業Bは、製品単価が最も高く市場拡大の利益が大きいため、市場全体の拡大を第一に目指す。
ウ 企業Cは、製造コストを上げて製品品質を高めながら、競合からの顧客獲得を狙う。
エ 企業Dは、最大のシェアを維持するためには、他社の行動に対して同質化を行うだけでなく、自社からのイノベーションも検討する。

 第5問 解答

 エ

第6問 競争優位性

 企業の先行者優位性に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 技術が特許によって保護される状況では、技術の模倣や売買が不可能であるため、先行者となる企業の優位性が維持されやすい。
イ 顧客側のスイッチングコストが高い状況では、先行者となる企業の優位性が維持されやすい。
ウ 顧客の嗜し 好こうの変化や新しい顧客ニーズが次々に生まれる状況では、先行者となる企業の優位性が維持されやすい。
エ 先行者の投資に対して後発者が大きく「ただ乗り」できる状況では、先行者となる企業の優位性が維持されやすい。
オ 非連続的な技術革新が頻繁に起こる状況では、先行者となる企業の優位性が維持されやすい。

 第6問 解答

 イ

第7問 M&A等

 M&Aや戦略的提携に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 異業種間のM&Aでは、自社の必要としない資源までも獲得することがあり非効率が生じやすいが、規模の経済のメリットを享受できる。
イ 戦略的提携では、パートナーが裏切る可能性があり、それを抑制するために事前にデューデリジェンスを行うことが必須である。
ウ 戦略的提携では、パートナーに開示する情報を選択することを通じて、パートナーの学習速度に影響を与えることができる。
エ 同業種間のM&Aは、範囲の経済と習熟効果の実現というメリットがあることから、異業種間のM&Aに比べて統合コストは低い。
オ 買収者以外の株主にオプションを与えるなどして買収コストを引き下げようとすることを、ポイズンピルと呼ぶ。

 第7問 解答

 ウ

第8問 事業や市場の創出

 新事業や新市場の創出に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア E.リースの「リーン・スタートアップ」理論に基づけば、不確実性が非常に高い事業の場合、成功要因の把握は非常に難しいため、多額の調査費を投入して潜在的な需要を把握し、時間をかけて綿密な計画を立てる必要がある。

イ G. A.ムーアの「キャズム」理論に基づけば、イノベーターとアーリー・アドプターはテクノロジーに対する姿勢は共通するが、実用性志向の程度が異なり、その相違によって新市場の拡大において越えることが最も難しい大きな溝(キャズム)が生み出されている。

ウ S. D.サラスバシーの「エフェクチュエーション」理論に基づけば、熟達した起業家は、事前に市場を明確に定義して、セグメンテーションやターゲティング、ポジショニングを設定することによって、不確実性の高い状況でも新事業を創出することができる。

エ W.チャン・キムとR. A.モボルニュの「ブルーオーシャン戦略」に基づけば、顧客価値を高める差別化の要素を持つことと、コストを押し下げることを併せ持つことが、新市場の創出に重要である。

オ 他社に先駆けてデファクト・スタンダードを獲得することは新事業における競争優位につながるため、デファクト・スタンダードの決定に重要な役割を果たすISOのような国際的な標準化機関との間で調整や協議を進める必要がある。

 第8問 解答

 エ

第9問 イノベーションのプロセス

 企業におけるイノベーションには外部からの知識が欠かせない場合が多い。イノベーションのプロセスにおいて重要とされる吸収能力(absorptive capacity)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 多くの企業にとって、吸収能力を高めることが研究開発投資の最大の目的である。
イ 企業の吸収能力は、新しい知識やスキルを組織内部のメンバーに共有させる組織能力であり、組織内の個人が保有する既存の知識とは関係がない。
ウ 企業の吸収能力は、個々の構成メンバーの吸収能力に大きく左右されるため、個人の吸収能力の総和と考えられる。
エ 吸収能力とは、既存知識によって新しい情報の価値に気付き、それを活用する能力である。
オ 吸収能力は、研究開発部門に特有の能力である。

 第9問 解答

 エ

第10問 プラットフォーム戦略

 プラットフォームを用いた戦略に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 1 つのプラットフォームには、同業者だけを参加させる方が効果的かつ効率的である。
イ 参加者がプラットフォームから得られる効用は、参加者が増加するにつれて指数関数的に増加する。
ウ プラットフォームに参加する人が増えるほど、参加者がそのプラットフォームから得られる効用が増加することをフレーミング効果と呼ぶ。
エ プラットフォームは社会にとっての価値を生み出すものなので、規制は必要とされない。
オ プラットフォームを用いたビジネスでは、サービスの受益者には課金されない。

 第10問 解答

 イ

第11問 暗黙知

 野中郁次郎が提唱した組織的知識創造理論における中核的な概念の1 つである暗黙知に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア ある時代や分野において支配的規範となる物の見方や捉え方であるパラダイムは、手法的技能としての暗黙知である。
イ 暗黙知は言語化が困難な主観的知識を意味し、そのまま組織的に共有させることが容易である。
ウ 経験は意識的な分析や言語化によっても促進されるため、暗黙知が形式知化されると新たな暗黙知を醸成する。
エ 知識創造の過程は暗黙知と形式知の相互変換であり、集団における暗黙知の共有や一致が知識創造の唯一の出発点である。
オ 豊かな暗黙知の醸成には、経験を積み重ねることが重要で、形式知化を行わないことが推奨される。

 第11問 解答

 ウ

第12問 企業の国際化

 企業活動のグローバルな展開が進んでいる。企業の国際化に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア C.バートレットとS.ゴシャールによれば、トランスナショナル戦略を追求する多国籍企業の中核となる資産や能力は、主に企業の本国において存在しており、他の国や地域における開発は不可能である。
イ C.バートレットとS.ゴシャールによれば、マルチナショナル企業はグローバル企業に比べて、個々の地域や市場への適応の度合いが高いため、国別の現地法人の自主性や独立性が高いという特徴を有する。
ウ J.ストップフォードとL.ウェルズのモデルによれば、一般的な企業の国際化の進展経緯は、地域別事業部制から製品別事業部制へ移行した後、グローバル・マトリックス組織形成に向かう。
エ R.バーノンは、米国の大企業の海外進出過程を分析し、製品ライフサイクルの進展に伴う発展途上国から先進国への生産拠点移転現象をモデル化した。

 第12問 解答

 イ

第13問 企業の社会的責任

 企業の社会的責任に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア A.キャロルの社会的責任ピラミッドのフレームワークでは、社会貢献責任をピラミッドの土台に、経済的責任を最上部を形成するものと位置づけた。
イ M.フリードマンによると、企業の社会的責任とは株主利益の最大化であるが、彼の企業の社会的責任論は、法律や社会規範を遵守した上での競争を行うというルールを前提としたものである。
ウ P.ドラッカーによると、20世紀初頭までの経営者に企業経営における社会的責任を意識した者はいなかったので、企業の社会的責任は現代の経営者の持つべき新しい課題であるとした。
エ 企業の社会的責任に関し、R.フリーマンは、企業とステークホルダーは利害を巡って決定的な対立関係にあることを指摘し、両者の相互依存的関係を危険視する主張を展開した。

 第13問 解答

 イ

第14問 組織形態

 主要な組織形態に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 機能別組織では、機能別部門の管理をそれぞれの部門の長に任せることから、事業部制組織よりも次世代経営者の育成を行いやすい。
イ 機能別組織では、知識の蓄積が容易であるため、事業の内容や範囲にかかわらず経営者は意思決定を迅速に行いやすい。
ウ 事業部制組織では、各事業部が自律的に判断できるために、事業部間で重複する投資が生じやすい。
エ 事業部制組織では、各事業部が素早く有機的に連携できるため、機能別組織よりも事業横断的なシナジーを創出しやすい。
オ マトリックス組織は、複数の命令系統があることで組織運営が難しいため、不確実性が低い環境において採用されやすい。

 第14問 解答

 ウ

第15問 管理システムモデル

 T.バーンズとG. M.ストーカーは、外部環境の安定性の程度と組織内部の管理システムの関係性を検討し、「機械的管理システム」と「有機的管理システム」という2 つの管理システムのモデルを提唱した。
 これらのモデルの対比に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 機械的管理システムでは、有機的管理システムよりも上司への服従が強調される。
イ 機械的管理システムでは、有機的管理システムよりも水平的なコミュニケーションによる助言や相談がよくなされる。
ウ 有機的管理システムでは、機械的管理システムよりも個々のタスクは抽象的な性質を帯びている。
エ 有機的管理システムでは、機械的管理システムよりもその組織に特有な知識やスキルが重要視される。
オ 有機的管理システムでは、機械的管理システムよりも役割に関する責任が詳細に定められる。

 第15問 解答

 ア

第16問 職務特性モデル

 職務に対する従業員のモチベーションは、組織から与えられる報酬だけではなく、担当する職務の特性それ自体からも影響を受ける。
 J. R.ハックマンとG. R.オルダムによって提唱された職務特性モデルに関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 技能多様性、タスク完結性、タスク重要性の度合いが高いほど、従業員はその仕事に価値や意義を見出すようになる。
イ 職務特性モデルでは、従業員の心理状態が中核的な職務特性を介して従業員の仕事の成果に影響を及ぼすと考える。
ウ 成長欲求の程度が低い従業員は、その程度が高い従業員と比べて、自律性の高い仕事を与えられた場合に、仕事の結果への責任感をより強く感じる傾向がある。
エ タスク完結性とは、仕事のスケジュールや手順を決めるにあたって、担当者が自己完結的にそれらを自由に決められる程度を指す。
オ 幅広い工程を一貫して担当することが求められるタスクは、細分化された1 つの工程を担当するタスクよりもタスク重要性が高い。

 第16問 解答

 ア

第17問 目標設定理論

 E. A.ロックとG. P.レイサムらが提唱した目標設定理論に則した管理者の判断と行動に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 自分には目標を達成できる能力があるという信念を持つ人ほど、達成が困難な状況になると目標を断念する傾向があるため、自分の能力を過信しないように部下に伝えた。
イ 達成に多くの努力を要する目標は、達成できる見込みが立てづらく部下からの反発や抵抗が予想されるため、容易に達成できる業績目標を設定した。
ウ 達成の難易度が高い目標を設定するにあたっては、部下にその目標を受容させることが重要であるため、その目標が公正で妥当であることを強調して部下に伝えた。
エ 一人ひとりの目標の内容が職場で公表されると、目標に対するコミットメントが阻害されるため、各自の目標が互いに知られることのないように配慮した。
オ 明確な数値目標を設定すると、目標達成に対する心理的プレッシャーが高まり、部下の達成意欲が低下するため、自由に解釈できる定性的な目標を設定した。

 第17問 解答

 ウ

第18問 パス・ゴール理論

 リーダーシップの条件適合理論の1つであるパス・ゴール理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 自分の行動とその結果を自分自身が統制していると考える部下は、リーダーから意思決定に関して相談されたり提案を求められたりすることに強い満足を得る傾向がある。
イ タスクの内容と達成方法を具体的に指示するリーダーシップは、部下のタスクが曖昧な場合よりも高度に構造化されている場合の方が、部下の満足度を高めやすい。
ウ タスクを遂行する自らの能力が高いと認識する部下ほど、タスクの内容や達成方法を具体的に指示するリーダーシップに対する満足度が高くなる。
エ 部下の感情面への配慮を示すリーダーシップは、タスクを遂行すること自体から得られる部下の満足度が低い場合よりも高い場合の方が、部下の満足度を高めやすい。
オ リーダーは、自らの性格的な特性に応じて、指示型、支援型、参加型、達成志向型のいずれかの行動スタイルをとることで部下の満足度を高められる。

 第18問 解答

 ア

第19問 意思決定に関する問題

 集団の中にいる人間の意思決定や行動は集団から影響を受ける。集団の機能と集団内の人間行動に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 「凝集性」が高い集団では、集団内の規範と組織全体の業績目標とが一致するため、集団内の個人の生産性が高まりやすい。
イ 「グループシフト」とは、集団のメンバーが個人として当初有していた極端な態度や意見が、集団で討議した結果、より中立的な方向に収束する現象を指す。
ウ 「集団圧力」を受けやすい状況下でも、正しい答えが明白な課題に取り組む場合は、個人が多数派の意見に同調して誤った答えを選択することはない。
エ 全体の和を重んじる集団では、意思決定に際して多数派の意見だけではなく少数派からの異論も奨励する「グループシンク」が促進されやすい。
オ 人が集団の中で働くときに単独で働くときほど努力しない「社会的手抜き」という現象は、個人の貢献と集団の成果との関係が曖昧な場合に生じやすい。

 第19問 解答

 オ

第20問 組織学習サイクル・モデル

 J. G.マーチとJ. P.オルセンが示した組織学習サイクル・モデルにおける不完全な学習サイクルに関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 「曖昧さのもとでの学習」とは、組織の行動がもたらした環境の変化を適切に解釈できず、個人の信念が修正されないことを指す。
イ 「傍観者的学習」とは、個人が、環境の変化について傍かたわらから観察しているかのように、自らの行動を変化させないことを指す。
ウ 「迷信的学習」とは、個人が自ら確信している迷信に従って、自身の行動を変化させ、さらに組織の行動の変化も導こうとすることを指す。
エ 「役割制約的学習」とは、環境の変化によって自らの信念が変化した個人がその行動を変化させるものの、そうした変化が自らの役割の範囲内のみにとどまっていることを指す。
オ 不完全な学習サイクルとは、「環境の変化→個人の行動→組織の行動→個人の信念」という連結サイクルのいずれかが切断されていることを指す。

 第20問 解答

 ア

第21問 資源依存パースペクティブ

 資源依存パースペクティブでは、組織がさまざまな資源をステークホルダー(利害関係者)に依存していることに注目している。
 メーカーであるA社が、事業活動に必要な原料Xを、Xのみを製造販売しているB社から継続的に購買している場合に、両社間に生じうるパワー関係に関する記述として、資源依存パースペクティブの観点から、最も不適切なものはどれか

ア A社がB社以外の他社から原料Xをどの程度購買しているかどうかが、両社間のパワー関係に大きな影響を与える可能性がある。
イ A社が保有している機械設備の資産評価額が、B社が保有する機械設備の資産評価額よりも相対的に大きいことが、両社間のパワー関係に大きな影響を与える可能性がある。
ウ B社の販売量全体におけるA社向けの販売量が占める比率が、両社間のパワー関係に大きな影響を与える可能性がある。
エ 原料Xの販売についてのB社の自由裁量に関して法律などによる制約があるかどうかが、両社間のパワー関係に大きな影響を与える可能性がある。
オ 原料Xを入手できなくてもさほど大きな問題が生じずにA社が事業活動を営むことができるかどうかが、両社間のパワー関係に大きな影響を与える可能性がある。

 第21問 解答

 イ

第22問 組織における制度的同型化

 組織における制度的同型化に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア ある組織形態が社会的に高い評価を得ている場合には、その組織形態を採用しなければ取引関係にある組織から批判されることから、強制的同型化が生じやすくなる。
イ 環境が安定的であり、どのようにすれば社会から評価されるかが明確であれば、模倣的同型化が生じやすくなる。
ウ 政府が特定の組織形態を採用することを求める規制を行えば、制度的環境からの期待が明示的になって競争が緩和されるため、模倣的同型化が生じやすくなる。
エ 専門家団体のような組織横断的な専門家ネットワークが発達することにより、規範的同型化が生じやすくなる。
オ 取引関係にある組織同士は、資源を相互に依存しあっているために、それらの組織間では規範的同型化が生じやすくなる。

 第22問 解答

 エ

第23問 組織の変化に対する抵抗

 組織には、環境変化とそれに伴う組織変革に対して抵抗を示す側面がある。組織において変化や変革に対する抵抗が生じる理由に関する記述として、最も不適切なものはどれか

ア 業務プロセスを変革したとしても、それと整合するように組織構造や業績評価システムといった他のサブシステムも併せて変革しない限り、変革を元に戻す組織的な作用が働きやすいから。
イ 現状の資源配分パターンから最も大きな利益を得ている部門は、環境変化に伴う資源配分パターンの変革を脅威と見なし抵抗する傾向があるから。
ウ 支援的な組織風土によって組織の心理的安全性を高めに維持しようとする構造的慣性が組織には存在するから。
エ 従業員が所属する集団の規範が、変革に対する従業員の前向きな考えや行動を抑制するように作用する可能性があるから。
オ 従業員の思考や行動を同質化する組織社会化のプロセスが、組織の革新性を阻害する可能性があるから。

 第23問 解答

 ウ

第24問 賃金・退職金

 賃金又は退職金に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 従業員の業務実績に応じて、一定比率を賃金とする出来高払制度によって賃金計算をする労働契約を締結している場合には、使用者は、労働時間に応じた一定額の賃金保障をする必要がなくなる。
イ 使用者は、最低賃金法による最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならず、同法には、この最低賃金支払義務に違反した者に対して罰金に処する旨の規定が設けられている。
ウ 懲戒解雇の場合には、使用者は、労働基準法の規定により退職金として、懲戒解雇等の理由がない場合に支払われるべき額の6 割を支払わなければならない。
エ 労働基準法により賃金は毎月一回以上一定の期日を定めて支払うこととされているため、従業員が疾病治療の費用に充てるために既往の労働に対する賃金を請求した場合であっても、使用者は、あらかじめ定めた支払期日前に当該賃金を支払わなくてよい。

 第24問 解答

 イ

第25問 労働基準法に関する問題

 労働基準法上の労働者に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア インターンシップにおける学生は、当該学生が直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が受け入れ企業に帰属し、かつ、受け入れ企業との関係において使用従属関係が認められる場合であっても、労働基準法上の労働者に該当しない。

イ 株式会社の代表者は、事業主体との関係において使用従属関係が認められないため、その役員報酬が著しく低額の場合であっても、労働基準法上の労働者に該当しない。

ウ 物品を配送する事業を営む事業主より委託を受けて自転車により物品配送に従事する者は、当該従事者に事業者性を肯定する要素がなく、かつ、当該事業主体との関係において使用従属関係が認められる場合であっても、労働基準法上の労働者に該当しない。

エ 労働基準法上の事業は、営利を目的として行われるものに限定されることから、社会事業団体や宗教団体が行う継続的活動に従事する者は、当該団体との関係において使用従属関係が認められる場合であっても、労働基準法上の労働者に該当しない。

 第25問 解答

 イ

第26問 労働時間に関する問題

 労働時間に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 1 週間の所定労働時間が37時間30分で1 日の所定労働時間が7 時間30分の完全週休二日制の事業場において、就業規則に延長勤務を指示することがある旨規定され労働者に周知されている場合に、使用者は、時間外労働に関する書面による労使協定を締結していなくても、所定労働時間外の労働の制限がない労働者を法定労働時間以内である30分間は延長して勤務させることができる。

イ 12時から13時までを昼食休憩として休憩時間を与えている事業場において、一斉休憩の適用除外に関する書面による労使協定を締結したうえで、この時間帯に電話及び来客対応のために労働者の一人を当番制により待機させている場合、当番中に電話も来客も全くなかったときは、当該時間は労働時間ではなくなる。

ウ 使用者が実施する技術水準向上のための教育又は研修が所定労働時間外に実施される場合には、当該教育又は研修が、参加しない労働者に就業規則で定めた制裁を科すなど不利益取り扱いによって参加を強制するものではない自由参加制であっても、その時間は時間外労働になるため、時間外労働に関する書面による労使協定の締結が必要となる。

エ 定期路線トラック業者において、運転手に対してトラック運転の他に貨物の積み込みを行わせることとして、トラック出発時刻の数時間前に出勤を命じている場合、貨物の積み込み以外の時間の労務の提供がない手待ち時間は労働時間ではない。

 第26問 解答

 ア

第27問 社会保険に関する問題

 次の記述は、株式会社Aを経営するB社長から、C中小企業診断士への相談内容をまとめたものである。健康保険諸法令及び厚生年金保険諸法令に照らし、各相談事項に対する正しい回答として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 雑貨を製造・販売する株式会社Aを新しく設立したB社長は、従業員から「健康保険と厚生年金保険はどうなっていますか。」と質問を受けた。B社長は、健康保険及び厚生年金保険(以下、両者を併せて社会保険ということがある)については全く理解していなかったため、会社を設立する際に支援を受けたC中小企業診断士に相談することとした。B社長の相談内容は、「社会保険の手続きはどのようにするのか。従業員に対してどのように説明するのか。社会保険の保険料の納付と負担は誰がどのようにするのか。手続きをした後の毎月の保険料は変わらないのか。ボーナス支給時にも保険料がかかるのか。」というものであった。
 株式会社Aでは、従業員として30歳代の正社員3 名を使用しており、被扶養者に該当する家族を有する者はいない。ボーナスは夏期と年末の年2 回支給を予定している。なお、株式会社Aは全国健康保険協会管掌健康保険の適用事業所であり、電子申請は行っていないものとする。

〔解答群〕

ア 社会保険の手続きについては、事業主は、事業所が新規に社会保険の適用事業所となったこと及び従業員が被保険者の資格を取得したことについて、新規適用届及び被保険者資格取得届など必要書類を日本年金機構に提出することが必要です。

イ 社会保険の保険料の納付と負担については、事業主が毎月、従業員の給与から源泉徴収して納付することになっていますが、口座振替の申出をすることもできます。また、事業主の義務は源泉徴収した保険料を納付することであって、保険料を負担する義務は保険給付の受給者になり得る被保険者だけが負います。

ウ 従業員に対しては、被保険者資格取得の確認通知書が届いたらその内容を従業員に通知して、今後資格情報に変更が生じた場合や被扶養者が増えるときは、従業員が各自で住所地最寄りの年金事務所に届け出るように説明してください。

エ 手続き後の毎月の社会保険の保険料については、昇給の都度変更することがあります。ボーナス支給時には厚生年金保険に関してのみ保険料を納付することになっており、健康保険に関する保険料の納付は不要です。

 第27問 解答

 ア

第28問 顧客価値

 顧客価値に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 顧客が製品やサービスに期待する最も基本的な機能によってもたらされる価値を、機能的価値という。最も基本的な価値であるため、機能的価値が不十分であったり不明確であったりする製品やサービスが顧客に受け入れられることはない。

イ 実際に製品やサービスを購入し、使用感などを経験してみなければ分からない価値を経験価値という。経験価値によって製品やサービスを訴求するためには、すでに利用した顧客によるクチコミなどをなるべく発生させないようにしつつ、プロモーションを行うべきである。

ウ 製品やサービスの機能的価値は、「あって当たり前」の本質機能と、付加的な付随機能に分けることができる。このうち本質機能による機能的価値は、1 つでも欠ければ競合する製品やサービスに比べて大幅に魅力が劣るため、自社の製品やサービスを差別化するために最も力を入れなければならない価値である。

エ どのような基本的な機能を期待するかは顧客ごとに異なるのに対して、多くの顧客が製品やサービスに期待する感覚的価値は一般的に似通っているため、感覚的価値を訴求する製品やサービスは差別化が難しく、価格競争に陥りやすい。

オ 文脈価値とは、顧客が製品やサービスを利用した際の状況に依存する。すなわち、顧客による特定の製品やサービスの利用と、その際の周辺環境や情景あるいは誰と一緒に利用したか、などの状況とともに創り出される価値である。

 第28問 解答

 オ

第29問 購買意思決定に関する問題

 消費者の購買意思決定において用いられる代替案の評価方法には、大きく分けて補償型と非補償型がある。これらの評価方法に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 耐久消費財などの複雑な製品の購買意思決定においては、非補償型の評価方法のみが用いられることが多い。
イ 非補償型の評価方法の1 つに分離型がある。この方法では、代替製品の各属性に十分条件を設定し、いずれかの属性においてこの条件を満たした製品を選択する。
ウ 非補償型の評価方法の1 つに連結型がある。この方法では、代替製品の各属性に必要条件を設定し、いずれかの属性においてこの条件を満たした製品を選択する。
エ 補償型とは、ある属性のマイナス面が他の属性のプラス面によって相殺(補償)され得る評価方法であり、最も簡略な方法であるため、日常の簡便な意思決定や衝動型購買などの場面でしばしば用いられる。
オ 補償型の評価方法は、ヒューリスティックスとも呼ばれる。

 第29問 解答

 イ

第30問 製品開発に関する問題

 製品の売り上げや人気が消費者間の影響力に大きく左右されるようになった結果、近年は企業と消費者が共同して製品開発を行う例が多く見られる。このことに関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア オープン・イノベーションとは、一般に企業が企業外部のアイデアなどを取り入れながら価値を創造する取り組みであるが、企業が自社内のアイデアなどを積極的に外部に出すこともある。
イ 企業と消費者が共同で開発した製品は、新奇性や好意的評価、これらに基づく売り上げなどにおいて従来型の製品開発による製品を上回ることも多い。しかし、製品ライフサイクルの長さにおいて従来型の製品より短い場合が多く、このことが課題である。
ウ 企業と消費者が共同で製品開発を行う取り組みにおいては、そのための資金をクラウド・ソーシングによってオンライン上の多数の消費者から広く調達することも多い。
エ 消費者と共同するのではなく、伝統的な製品開発手法に基づき市場のニーズを重視して自社単独で製品を開発しようとする企業は、シーズ志向であるということができる。

 第30問 解答

 ア

第31問(1) 卸売に関する問題

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 食品メーカーA社では、これまで①卸売業者や小売業者を介した間接流通チャネルと電子商取引を用いてきた。近年は多くの食品メーカーが②D2Cに乗り出しており、この動きにどのように対応するかも1 つの課題であると考えている。

(設問1 )

 文中の下線部①に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア ある業界において多くのメーカーが零細である場合、卸売業者の役割は小さいため、その業界の流通チャネル上に存在する卸売業者の数も少なくなる傾向がある。
イ ある業界において中小小売業者が多いほど、これら中小小売業者とメーカーをつなぐ卸売業者が多段階化し、その数も多くなる傾向がある。
ウ 卸売は卸売業者だけが行うものではなく、小売業者によって行われることもある。しかしメーカーが販社を作って行う小売業者向けの販売は、卸売ではない。
エ 小売とは最終消費者に対して商品を再販売する商業活動であるのに対して、卸売とは最終消費者だけでなく他の卸売業者や小売業者、産業用使用者に対して商品を再販売する商業活動である。
オ 大規模に成長した小売業者との取引を確保・拡大するために、近年の卸売業者に求められている方策の1 つがロジスティックス機能の強化である。この機能は一般にサードパーティ・ロジスティックスと呼ばれ、卸売業者の生き残りをかけた重要な戦略となっている。

 第31問(1) 解答

 イ

第31問(2) D2Cに関する問題

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 食品メーカーA社では、これまで①卸売業者や小売業者を介した間接流通チャネルと電子商取引を用いてきた。近年は多くの食品メーカーが②D2Cに乗り出しており、この動きにどのように対応するかも1 つの課題であると考えている。

(設問2 )

 文中の下線部②に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 一般にD2Cとは、卸売業者や小売業者から構成される従来の流通チャネルを介することなく、自社サイトや大手ネットショッピング・モールを通じて、自社の製品を直接消費者に販売することを指す。
イ 米国のスタートアップ企業などが自社サイトを活用して自社の世界観を伝え、顧客との接点を育てながら自社製品を直接販売して急速に成長したのがD2Cの始まりであるが、SNSを積極的に利用することも多くのD2Cに見られる特徴の1 つである。
ウ メーカーがD2Cに進出するためには、自社サイトを構築し、顧客管理、決済システムなどを単独で開発する必要がある。
エ メーカーが流通チャネルを介さずに直接消費者に自社製品を販売することは、従来「メーカー直販」と呼ばれてきた。ほとんどのメーカーは、既存の間接流通チャネルとメーカー直販を両立させ、間接流通チャネルの卸売業者や小売業者の支持を得ながらメーカー直販を拡大してきた。

 第31問(2) 解答

 イ

第32問(1) デジタル・マーケティング

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 さまざまな新しいSNSの登場や、メタバースなどの新しい技術の登場により、①デジタル・マーケティングが急速に進展している。このようなトレンドを背景にして、②消費者同士のクチコミやインフルエンサーの影響力などに対しても、ますます注目が集まっている。

(設問1 )

 文中の下線部①に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア アドネットワーク・プラットフォーマーは、広告枠の運用を効率化したい大規模メディアからの委託を受け、これらのメディアの運営者に代わり広告枠を広告主に販売する。自ら広告枠を販売することができない個人サイトや中小サイトなどのメディアが、アドネットワーク・プラットフォーマーに広告枠の運用を委託することはできない。

イ オフライン店舗を中心にマーケティングを展開してきた企業が、新たにオンライン・チャネルを開設した際にしばしば問題となるのが、両チャネル間で消費者の認知・検討と購買が分離することである。この対策として、店舗を利用する従来の顧客を新たなオンライン・チャネルへ誘導するO2Oに加えて、近年はオンラインとオフラインを融合するOMOなどの方策も採られるようになった。

ウ 広告主が対価を払って出稿する広告はペイド・メディアと呼ばれてきたが、その中でも特に複数の広告主が共同で支出する大規模なキャンペーンなどは、近年はシェアード・メディアと呼ばれる。

エ 需給バランスや時期などによって製品やサービスの価格を変動させるダイナミック・プライシングの方法は、デジタル技術とAIの登場によって広く行われるようになった。また、利用者ごとに柔軟に価格を変える方法もダイナミック・プライシングに含まれる。

 第32問(1) 解答

 エ

第32問(2) 消費者同士のクチコミ・インフルエンサー

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 さまざまな新しいSNSの登場や、メタバースなどの新しい技術の登場により、①デジタル・マーケティングが急速に進展している。このようなトレンドを背景にして、②消費者同士のクチコミやインフルエンサーの影響力などに対しても、ますます注目が集まっている。

(設問2 )

 文中の下線部②に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア カスタマー・ジャーニーにおけるタッチポイントとは、企業やマーケターと顧客との接点であり、SNSやレビューサイトなどに投稿された当該企業に関連するクチコミも、タッチポイントである。

イ 実際には企業が費用を負担している広告であるにもかかわらず、広告であることを隠して行われるステルス・マーケティングは、特にインフルエンサーを用いたマーケティングに多く見られる。2022年には消費者庁が、このようなステルス・マーケティングを不当廉売として規制する方向で準備を開始した。

ウ スマートフォンを用いて誰もが日常生活の中で気軽にSNSに写真や意見などを投稿できるようになった結果、それらを閲覧する消費者の製品やサービスへの平均的な関心の強さや知識レベルなどは低下する傾向が見られ、結果としてカスタマー・ジャーニーにおけるクチコミの重要性も低下している。

エ 製品やサービスの仕様や性能などに関する探索属性と呼ばれる情報が豊富であることは、SNSやクチコミサイトなどに投稿されるクチコミの最大の強みである。

 第32問(2) 解答

 ア

第33問 コミュニケーション

 コミュニケーションに関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 広告炎上問題や動画投稿サイト上の広告問題など、インターネットの普及に伴う広告倫理の問題が指摘されるなか、「インターネット広告倫理綱領」が制定されたことによって、倫理的に問題のあるインターネット広告は大幅に減少している。

イ 特定のブランドに興味をもつ消費者が集まるインターネット上のブランド・コミュニティはブランド・ページと呼ばれ、企業のサイト内にあるブランド・コミュニティと比べ、オープン・アクセスと閲覧者の幅広さという点は同じであるが、情報拡散という点で優れている。

ウ 日本においてインターネット広告費はプラス成長を続けており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響下でも2020年のインターネット広告費は成長を維持した。

エ メディア・マルチタスキングのうち、テレビ、スマートフォン、タブレットなどの画面を複数使用することはマルチ・スクリーニングと呼ばれ、同時に複数のメディアに注意を向けることになるため、単一メディアに接するときよりも広告効果は低下する。

 第33問 解答

 ウ

第34問 ブランディング

 ブランディングに関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア BtoBマーケティングでは、BtoCマーケティングに比べて特定少数の顧客を対象とすることが多いため、ブランディングは不要である。
イ あるブランドについて、これまで蓄積されたブランド資産を捨てて資産ゼロからスタートするブランド強化戦略では、既存ブランドを全く新しいブランドへと置き換えるため、ブランド管理の中でもリスクの高い戦略である。
ウ ブランディングが成功しているブランドは、他社ブランドとの機能の違いを知覚させる識別機能によって、コモディティ化が進む市場において自社ブランドが選ばれる理由を与えている。
エ ブランディングにおいては、製品やサービスを消費者の使用シーンと関連づけ、消費者に夢や期待、イメージを抱かせることによって、マインド・シェアを獲得することが重要である。
オ ブランドの価値構造において、基本価値、便宜価値、感覚価値は、ブランドとしての基礎となる価値であり、観念価値は当該ブランドと消費者との間に唯一無二の存在としての絆を形成する価値である。

 第34問 解答

 エ

第35問(1) 消費者の購買意思決定プロセス

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 消費者ニーズの充足や顧客満足の向上を目指すマーケティングにとって、消費者を理解することは不可欠である。企業は、①消費者の購買意思決定プロセス②消費者に及ぼす心理的効果についての理解を通して、適切なマーケティングを実行していく必要がある。

(設問1 )

 文中の下線部①に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 購入したブランドの欠点と購入しなかったブランドのベネフィットなどを考えた結果、生じる認知的不協和には、自分なりの基準に見合う商品が見つかれば購入に至るタイプの消費者よりも、選択に膨大な時間と手間をかけて最高の選択をしようとするタイプの消費者の方が陥りやすい。

イ 購買意思決定に必要な情報探索は、広告や販売員の説明といった売り手主導のマーケティング情報を探すという外部情報探索と、クチコミなどの買い手によるマーケティング情報を探すという内部情報探索とに分類される。

ウ 購買意思決定プロセスのスタートは、消費者が満たされていない特定のニーズを認識することから始まるが、こうしたニーズのうち、企業がアンケート調査を実施しても把握することができないニーズは真のニーズである。

エ 消費者の意思決定に及ぼす準拠集団の影響の中で、消費者が自分のイメージを高めたりアイデンティティを強化できると期待して、憧れや尊敬を抱く集団と同じブランドを購入したり利用したりするという形で現れる影響のことを情報的影響という。

オ 製品関与は、製品やサービスの購入の必要性や緊急性、店舗環境や品揃えなどの購買状況の魅力によって左右される関与のことであり、製品関与が高くなるほど購買決定における情報探索活動は活発になる。

 第35問(1) 解答

 ア

第35問(2) 消費者に及ぼす心理的効果

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 消費者ニーズの充足や顧客満足の向上を目指すマーケティングにとって、消費者を理解することは不可欠である。企業は、①消費者の購買意思決定プロセス②消費者に及ぼす心理的効果についての理解を通して、適切なマーケティングを実行していく必要がある。

(設問2 )

 文中の下線部②に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア アンカリング効果は、全く同じコーヒーが1,000円で提供されていた場合に、高級ブランド店が立ち並ぶエリアにあるカフェではそれほど高価に感じないが、若者向け商品を低価格で提供するカジュアルな店が立ち並ぶエリアにあるカフェでは高価に感じるような現象を説明することができる。

イ サンクコスト効果は、事前に購入する回数券の使用期限が近づくほど利用頻度を増加させることによって使い切ろうとする消費者心理を説明することができる。

ウ バンドワゴン効果は、小さなカップにあふれそうな量を盛り付けることで人気のジェラート店が、今までと同じ量を入れても余裕がある大きさのカップに変更した結果、以前よりも顧客が商品に価値を感じなくなるという現象を説明することができる。

エ プロスペクト理論は、交通費や昼食費は数百円の支出でも痛みを感じて節約しようとするにもかかわらず、コンサートや洋服といった自分の好きなことやモノに対しては数百円の支出の増加は気にならないという現象を説明することができる。

 第35問(2) 解答

 ア

第36問(1) 利益と社会的責任を両立させるマーケティング

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 持続可能な社会実現への要請が強まるなか、企業には、①利益と社会的責任を両立させるマーケティングを検討するだけでなく、消費者に②サステイナブルな消費行動を促す努力も求められている。

(設問1 )

 文中の下線部①に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア M.ポーターが提示したCSV(Creating Shared Value)の概念では、本業と関係のある事柄で、本業の利益に還元されるものが重視され、CSR(Corporate Social Responsibility)の概念よりも社会的課題を事業活動そのものと結びつけようとする側面が強調されている。

イ SDGs経営を目指す企業は、積極的に社会的課題の解決に取り組むことを通じて取り残されてきた市場を新たに獲得するために、経済的利益にこだわってはならない。

ウ 社会へ良いことをすることが企業への好感度や売り上げの向上につながるという考えの下で実施されるプロモーションのうち、本業の利益への還元を強く意識して実施されるものをソーシャル・グッドという。

エ 製品やサービスの売り上げの一部を特定の社会的課題への支援に活用するマーケティング活動はメセナと呼ばれ、この活動を増やすほど当該課題に対する関心が高まり、企業の新規顧客の獲得やブランド・イメージの醸成につながりやすい。

オ 直接的な顧客のニーズや満足だけではなく、社会全体の幸福を維持・向上させながら顧客価値を創造し、伝達し、説得していこうとするマーケティングはソサイエタル・マーケティングと呼ばれ、P.コトラーが提唱するマーケティング4.0と対応する。

 第36問(1) 解答

 ア

第36問(2) サスティナブルな消費行動

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 持続可能な社会実現への要請が強まるなか、企業には、①利益と社会的責任を両立させるマーケティングを検討するだけでなく、消費者に②サステイナブルな消費行動を促す努力も求められている。

(設問2 )

 文中の下線部②に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 多くの消費者の間には、サステイナブルな社会の実現に向けて自身の行動を変えようと説得する企業からのメッセージに好意的な態度を示す一方で、実際にサステイナブルな行動をとることは少ないという態度と行動とのギャップが存在する。

イ サステイナブルな消費行動を促すためには、製品の使用価値を重視させるよりも、所有価値を重視させるマーケティングが有効である。

ウ 製品を購入する際には、できるだけ地球環境に配慮した製品を選択しようとする考え方をソーシャリズムといい、この考えに沿って行動する消費者をグリーン・コンシューマーという。

エ レジ袋の有料化のように社会的課題を消費者個人の責任へと転嫁するアプローチは、消費者に支持されやすく反発を生じさせない。

 第36問(2) 解答

 ア

第37問 パッケージ

 パッケージに関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア アフォーダンスのルールをうまく取り入れたパッケージ・デザインは、製品利用における消費者の利便性を高めることはできないが、地球環境に配慮する行動を自然に促すことはできる。

イ グローバル市場での製品導入を目指す企業では、パッケージに特定の国で隠語的な意味を持ってしまう言語や記号、表現を避け、地理的境界や文化を超えて利用できる移転可能性が高いブランド要素を使用すべきである。

ウ 市場で最大の経営資源とシェアをもつリーダー企業が現在の競争地位を維持するために、チャレンジャーやフォロワーといった競合他社のパッケージと類似のデザインを採用することはない。

エ パッケージのデザイン開発の現場では、従来型のアンケート調査に加え、アイトラッキングやAI分析を用いた精度の高い調査データが得られるようになっているため、パッケージのリニューアルなどの意思決定において、マーケターの判断は不要になっている。 

 第37問 解答

 イ

学習お疲れさまでした。
合格を目指して引き続き頑張ってください、応援しています!

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