企業経営理論(令和2年度)

令和2年度 過去問一覧

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目次

令和2年度 過去問 企業経営理論

第 1 問 VRIOフレームワーク

 VRIOフレームワークにおける競争優位に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ア ある経営資源が数多くの企業に保有されていても、外部環境の機会を適切にとらえ脅威を無力化するものであれば、この経営資源は一時的な競争優位の源泉となる。
  • イ 経営陣のチームワークや従業員同士の人間関係などの組織属性が経済価値を生み、希少性があり、かつ他の企業による模倣が困難な場合、この組織属性は企業の一時的な競争優位の源泉となる。
  • ウ 組織内のオペレーションを他の企業に比べて効率的に行うことができる技術やノウハウが、業界内で希少である場合、模倣困難性を伴わなくても企業の一時的な競争優位の源泉となる。
  • エ 他の企業が獲得できない経営資源が経済価値を持ち、業界内で希少である場合、その経営資源を活かす組織の方針や体制が整っていなくても、持続的な競争優位の源泉となる。
>> 第 1 問 解答と解説

正解 【ウ】

 ア:数多くの企業に保有されている事で、一時的であっても競争優位の源泉にはなりません。
 イ:希少性があり模倣困難な場合、組織属性については一時的ではなく、永続的な競争優位の源泉になります。一時的に限定しないという点とウの回答が正しい点から不正解としています。
 ウ:記載の通りです。
 エ:経営資源が競争優位であっても、それを活用できなければ地位を確保する事は難しいと考えられます。

第 2 問 経営戦略

 H.I.アンゾフは、経営戦略の考察に当たって、戦略的意思決定、管理的意思決定、業務的意思決定の 3つのカテゴリーを基軸として、企業における意思決定を論じている。
 それぞれの意思決定に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ア 管理的意思決定とは、最大の成果を引き出すための経営資源の組織化に関わる意思決定である。
  • イ 企業の多角化戦略は、管理的意思決定における主要な決定事項の1つである。
  • ウ 戦略的意思決定の対象となる問題は、事業活動を通じて生じることから、トップ・マネジメントが意識的に関心を寄せなくても、自ら明らかになる。
  • エ 戦略的意思決定は、企業外部の問題よりも、むしろ企業内部の問題と主に関わっている。
  • オ 戦略的意思決定は、企業における資源配分を中心としており、固定資産や機械設備など企業内部の資産に対する投資の意思決定と同じである。
>> 第 2 問 解答と解説

正解 【ア】

 ア:記載の通りです。
 イ:企業の多角化戦略は、戦略的意思決定によるものになります。
 ウ:戦略的意思決定については、自動的に関心にあがってくるものではありません。
 エ:戦略的意思決定は、企業外部の問題と主に関わっているといえます。
 オ:管理的意思決定に基づく判断事項の内容となっています。

第 3 問 競争戦略

 「業界の構造分析」の枠組みに基づいて考えられる、売り手(サプライヤー)と買い手(顧客)との間での交渉力に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ア 新たな企業が売り手として参入できる場合には、新規参入が不可能な場合と比べて、売り手に対する買い手の交渉力は低下する。
  • イ ある売り手が供給する製品と他社の競合製品との間での互換性が高い場合には、互換性が低い場合と比べて、売り手に対する買い手の交渉力は低下する。
  • ウ ある売り手が供給する製品を買い手が他社の競合製品に切り換える際に、買い手がその製品の使用方法を初めから学び直す必要がある場合には、その必要がない場合と比べて、買い手に対する売り手の交渉力は低下する。
  • エ 売り手が前方統合できる場合には、前方統合が不可能な場合と比べて、売り手に対する買い手の交渉力は低下する。
  • オ 売り手側のハーフィンダール指数がゼロに近づくほど、買い手に対する売り手の交渉力は高くなる。
>> 第 3 問 解答と解説

正解 【エ】

 ア:買い手の交渉力が高くなる条件の内容です。参入障壁が低い状態では、競争が激化します。
 イ:互換性が高い場合、買い手の交渉力は高くなります。
 ウ:スイッチングコストが発生する事で、買い手の選択権が狭まるため、売り手の交渉力が高くなります。
 エ:記載の通りです。
 オ:ハーフィンダール指数がゼロに近いという事は、市場の集中度が低く、リーディングカンパニーや十分な顧客がいない状態を示しているので、売り手の交渉力は低くなります。

第 4 問 競争戦略

 企業の競争優位に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ア PIMS(Profit Impact of Market Strategy)プログラムでは、市場シェアの追求と知覚される相対的な品質の追求は両立できないことが、明らかにされている。
  • イ 経験効果における習熟度は業界の特性に関わらず一定であるために、累積生産量の増加に伴う単位当たり費用の変化は、いかなる業界においても同様の習熟度を係数とする式で示される。
  • ウ 経験効果を利用したコスト・リーダーシップを追求する場合には、競合企業よりも多くの累積生産量を達成するために、できるだけ早い時点で参入することが有効な方策となる。
  • エ 製品差別化が有効である場合には、価格が上昇しても、競合する製品への乗り換えが生じにくいことから、需要の交差弾力性は高い。
  • オ 範囲の経済は、多角化を進める要因であることから、特定の事業においてコスト・リーダーシップを追求する上では、影響をもたらさない。
>> 第 4 問 解答と解説

正解 【ウ】

 ア:PIMSプログラムは、市場シェアの追求と知覚される相対的な品質の追究は両立できないことを明らかにしたものではありません。
 イ:経験効果による習熟度は、業界が異なる状態であれば当然ながら係数が同一になるということはりません。
 ウ:記載の通りです。
 エ:価格による競争力は高いので競合製品への乗り換えが生じにくい点は問題ありませんが、需要の交差弾力性(対他製品との需要変化)については低下します。
 オ:範囲の経済の効果が多角化により影響するのであれば、コスト・リーダーシップ戦略をとってどのような事業を拡大するかどうかの意思決定に影響を与えます。

第 5 問 多角化とM&A

 多角化とM&A に関する記述として、最も不適切なものはどれか

  • ア 異業種、同業種を問わず、M&A の統合段階における機能統合では、準備段階でのデューデリジェンス(due diligence)による、研究開発、生産、販売などの重複部分や補完関係の明確化が重要である。
  • イ 異業種のM&Aのメリットは、基本的には、範囲の経済とリスクの分散の実現であるが、自社の必要としない資源までも獲得してしまうリスクもある。
  • ウ 多角化では、企業の主要な市場での需要の低下という脅威は、外的な成長誘引(external inducement)となる。
  • エ 多角化には、特定の事業の組み合わせで追加的に発生する相乗効果と、複数の製品市場分野での事業が互いに足りない部分を補い合う相補効果がある。
  • オ 同業種のM&Aのメリットは、基本的には、規模の経済と経験効果の実現であるが、同業種間であるため各々の組織文化の調整と統合にはコストがかからない。
>> 第 5 問 解答と解説

正解 【オ】

 ア:記載の通りです。
 イ:記載の通りです。
 ウ:記載の通りです。
 エ:記載の通りです。
 オ:同業種のM&Aであっても、組織文化の調整と統合にはコストがかからないという事はありません。

第 6 問 価値連鎖・垂直統合

 設計、生産、販売などの活動から構成されるバリューチェーン(価値連鎖)の中で、どのステージ(活動)を自社で行うかの決定が、その企業の垂直統合度を決める。
 自社で行う活動の数が多いほど垂直統合度が高く、その数が少ないほど垂直統合度が低いとした場合、完成品メーカーA社の垂直統合度を高くする要因に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ア A社が使用する素材については、仕入先が多数存在しており、どの仕入先からでも、必要な時に品質の良い素材を仕入れることができる。
  • イ A社が使用する部品を製造しているすべてのメーカーは、A社に納入する部品製作のために専用機械を購入し、その部品はA社以外に納入することはできない。
  • ウ A社の完成品を使用する企業や工場は、A社の完成品を使用できなくなると、日常業務が成り立たなくなったり、生産ラインが維持できなくなったりする。
  • エ A社は、完成品を作るために必要な原材料や部品を提供している会社との間で、将来起こりうるすべての事態に対してA社が不利にならないような契約を交わすことができる。
  • オ A社は販売代理店を通じて製品を販売しているが、景気の回復局面ではその販売代理店はライバル会社の製品を優先して販売する。
>> 第 6 問 解答と解説

正解 【オ】

 ア:仕入先が複数存在することで調達リスクは低いため、垂直統合度を高くする要因にはなりません。
 イ:製造メーカーから見た場合、A社が重要取引先にあたる為、A社側から見た場合において、垂直統合度を高くする要因にはなりません。
 ウ:企業や向上から見た場合、A社が重要仕入先にあたる為、A社側から見た場合において、垂直統合度を高くする要因にはなりません。
 エ:A社が、取引上起こりうるすべての事態に対して不利にならない形で契約を交わすことができる場合、垂直統合度を高くする要因にはなりません。
 オ:記載の通りです。

第 7 問 技術開発・商品開発

 次の文章の空欄A~Dに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

  • ⑴ 現代の企業は、商品ライフサイクルの短縮化によって、多様な商品を低コストで連続的に開発することが求められている。商品開発に関する市場や技術の不確実性を低くするためには、開発の初期段階での活動によって多くの曖昧な情報を精査して、アイデアを徐々に絞り込む【 A 】を実施することが効果的である。
  • ⑵ 商品開発戦略では、個々の商品開発におけるコスト削減やリードタイムの短縮が求められ、商品ライン間の技術的な共通化を戦略的かつシステマティックに実行し、複数の商品開発プロジェクトを統合的に取り扱う戦略とマネジメントが重要となる。その戦略やマネジメントでは、さまざまな技術や部品の担当部門を横断的に組織化したプロジェクト・チームを先導する【 B 】を設けることは必ずしも有効ではなく、複数の商品開発プロジェクトを統括して管理する【 C 】の設置が効果的である。
  • ⑶ 技術開発や商品開発のプロセスにおいて、開発期間短縮と開発効率の向上および品質向上を同時に実現するという目標の達成には、各機能部門が業務を終了してから次の機能部門へ引き渡すのではなく、各機能業務を並行させて商品開発を進める【 D 】が必要である。

〔解答群〕

  • ア A:コンカレント・エンジニアリング
    B:重量級プロジェクト・マネジャー
    C:プラットフォーム・マネジャー
    D:ステージ・ゲート
  • イ A:コンカレント・エンジニアリング
    B:プラットフォーム・マネジャー
    C:ステージ・ゲート
    D:重量級プロジェクト・マネジャー
  • ウ A:重量級プロジェクト・マネジャー
    B:ステージ・ゲート
    C:プラットフォーム・マネジャー
    D:コンカレント・エンジニアリング
  • エ A:ステージ・ゲート
    B:重量級プロジェクト・マネジャー
    C:プラットフォーム・マネジャー
    D:コンカレント・エンジニアリング
  • オ A:ステージ・ゲート
    B:プラットフォーム・マネジャー
    C:コンカレント・エンジニアリング
    D:重量級プロジェクト・マネジャー
>> 第 7 問 解答と解説

正解 【エ】

 それぞれの項目を確認していきます。
 A欄:開発テーマや商品テーマを複数の段階(ステージ)に分類し、段階ごとで精査を行う活動は、ステージゲートとなります。
 B欄:機能横断的にプロジェクトを推進する役割を持つ、重量級プロジェクト・マネジャーが回答となります。
 C欄:複数のプロジェクトを統合する問題を解決するための、プラットフォーム・マネジャーが回答となります。
 D欄:各機能の業務を並行させて開発させるという点より、コンカレント・エンジニアリングが回答になります。

第 8 問 イノベーション

 以下のA欄の①~④に示す新製品開発やイノベーションを推進するための取り組みと、B欄のa~dに示すこれらの取り組みに当てはまる名称の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

【A 取り組みの内容】

  • ① 新興国で開発された製品や技術を先進国に導入すること
  • ② 新製品に関わる各部門が、外部環境における関連する領域と卓越した連携を持つこと
  • ③ 製品の構造を分析し、動作原理、製造方法、設計図の仕様、ソースコードを調査し、学習すること
  • ④ 職務よりもプロセスを重視した、事業プロセスの大きな設計変更を伴う職務横断的な取り組み

【B 取り組みの名称】

  • a リバース・エンジニアリング
  • b リエンジニアリング
  • c バウンダリー・スパンニング
  • d リバース・イノベーション

〔解答群〕

  • ア ①-a  ②-b  ③-c  ④-d
  • イ ①-a  ②-d  ③-c  ④-b
  • ウ ①-b  ②-d  ③-a  ④-c
  • エ ①-d  ②-c  ③-a  ④-b
  • オ ①-d  ②-c  ③-b  ④-a
>> 第 8 問 解答と解説

正解 【エ】

 それぞれの項目を確認していきます。
 ①は、リバース・イノベーションの説明になります。
 ②は、バウンダリー・スパンニングの説明になります。
 ③は、リバース・エンジニアリングの説明になります。
 ④は、リエンジニアリングの説明になります。

第 9 問 ベンチャー企業

 米国において起業家教育、起業家研究のパイオニアと称されるJ.A.ティモンズは、数多くのベンチャー企業の成功事例や失敗事例の調査から、事業機会、経営資源、経営者チーム、それらをコントロールする起業家からなる、ベンチャー企業が成功するためのモデルを構築した。
 このモデルに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ア 事業機会、経営資源、経営者チームが常に適合していることが重要であり、不均衡が一時的にでも生じないように3つの要素を管理する能力が起業家に求められている。
  • イ 事業機会、経営資源、経営者チームの3つの要素が均衡することはまれであり、ベンチャー企業の経営は不安定であることを前提としているので、起業家の役割は不安定な状態にある3つの要素のバランスを取ることである。
  • ウ 事業機会、経営資源、経営者チームの3つの要素の中で、ベンチャー企業は優れた経営者チームによって始められることを前提としているので、経営者チームが他の要素と比べて弱くなる状態は想定していない。
  • エ 事業機会、経営資源、経営者チームの3つの要素の中で最も重要なものは事業機会の発見であり、事業機会を実現するために必要な経営資源不足への対応は、起業家の役割ではない。
>> 第 9 問 解答と解説

正解 【イ】

 ア:不均衡が一時的にでも生じないようにという部分が誤りとなります。
 イ:記載の通りです。
 ウ:優れた経営者チームによってはじめられることを前提としているという部分が誤りとなります。
 エ:事業機会を実現するために必要な経営資源不足への対応は、起業家の役割に含まれますので、誤りとなります。

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第 10 問 組織の変遷

 次の文章を読んで、問題に答えよ。
 老舗と呼ばれる中小企業Z社は、重代で受け継ぐ製法による生産品を中心に事業を営むファミリービジネスである。創業以来の価値観や行動規範を重視して独自の組織文化を形成し、50%を超える株式を保有する創業家出身の四代目社長と、創業者一族が中心となって従業員との一体感を重視している。二代目社長の代からは、新しい品目や製造プロセスの改良に関して外部から技術を導入してきた。①歴史的経緯で外部から導入した製造プロセスの改良技術に基づき、技術関係部門同士の連携による問題解決は定型化されて続いている
 創業以来、危機的状況を何度も乗り切ってきたが、近年、過去にZ社を危機から救った伝統的な事業戦略が機能しなくなった。②創業以来の企業の価値観は、現在も社員の間で共有されているが、伝統的な価値観に基づく戦略による過去の成功が現在の戦略を機能させていない根本的原因となっていることを誰も認めようとはしない
 経営の意思決定は、創業家出身の社長を中心として行われてきた。最近、③役員や生え抜きの部門長と違和感なく全員一致で戦略的に意思決定したが、建設的なアイデアや現実的な解決策は顧みられなかった
Z社に関する下線部①~③の記述と、それらを説明する以下のa~cの語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

  • a 経路依存性
  • b グループ・シンク
  • c 組織文化の逆機能

〔解答群〕

  • ア ①-a  ②-b  ③-c
  • イ ①-a  ②-c  ③-b
  • ウ ①-b  ②-a  ③-c
  • エ ①-b  ②-c  ③-a
  • オ ①-c  ②-a  ③-b
>> 第 10 問 解答と解説

正解 【イ】

 各用語について解説します。
 経路依存性とは、ある結果を導き出すために、特定の事象や要因、時間経過等を経なければ辿り着かない状況である事を指します。
 グループ・シンクとは、集団で何らかの意思決定を実施する場合に、個人の意思決定プロセスから判断に至るまでよりもより短絡的に物事が決定されてしまう事(集団浅慮)を指します。
 組織文化の逆機能とは、組織文化として醸成された状態において、環境変化が生じた場合においても物事の判断や行動パターンを一定の組織文化に基づく基準を軸としてしまう事で、機能性を失っている状態のことを指します。

第 11 問 ファミリービジネス

 次の文章を読んで、問題に答えよ。
 企業Aは、前社長のBが30年前に設立した株式会社であるが、Bが高齢化のため、すでに10年前から同社の役員を務めていた長男Cが社長に就任し、Bは会長に就任した。会長としても、毎日出社して仕事は継続する。CはBが所有する株式をすべて買い取り、Cの持株比率は5%から60%になり、Bの持株比率はゼロになった。Bの妻Dも所有する株式すべてを長女Eに譲り、Eの持株比率は10%から20%になった。DもEも、社長の交代前も後も企業Aの役員や従業員ではない。また、Bとともに企業Aを支えていた家族以外の役員5人も退社し、所有していた20%の持株すべてを子供たち10人に譲った。

 ファミリービジネスのシステムを、「オーナーシップ(所有)」「ビジネス(事業)」「ファミリー(家族)」の3つのサブシステムから成るスリー・サークル・モデル(下図参照)で表した場合、企業Aの社長交代前と交代後のB、C、Eのスリー・サークルにおける位置の変化を示す最も適切なものを下記の解答群から選べ。

〔解答群〕

>> 第 11 問 解答と解説

正解 【エ】

 ファミリービジネスを理解するためのスリーサークルモデルになっています。
 本問においては、文章を読み解く事でB(前社長・現会長)、C(長男、現社長)、E(長女)がモデルのどこに当てはまるのかを判断します。
 持株比率の変化で、モデルにおけるポジションを判断した場合にはB(1→4)、C(1→1)、E(2→2)となります。

第 12 問 国際展開の累計

 C.A.バートレットとS.ゴシャールは、本国の本社と海外拠点間との分業関係や各拠点間の統合のあり方を基軸として、国際的に展開する企業の経営スタイルを、インターナショナル、グローバル、トランスナショナル、マルチナショナルの4つに分類している。
 これら4つの類型の基本的な特性は、それぞれ次のようにまとめられる。

  • a 資産や能力は本国に集中して、その成果は世界規模で活用される。海外拠点は本国の本社の戦略を忠実に実行する。知識は本国で開発・保有される。
  • b コア・コンピタンスの源泉は本国に集中するが、その他は分散される。海外拠点は本社の能力を適用し、活用する。知識は本国で開発され、海外拠点に移転される。
  • c 資産や能力は各国の拠点に分散されるとともに、本社を含む各国の拠点は相互依存的であり、専門化されている。知識は各国の拠点で共同で開発され、世界中で共有される。
  • d 資産や能力は各国の拠点に分散され、それぞれ自己充足的に活動する。海外拠点は現地の機会を感知して、活用する。知識は各国の拠点で開発・保有される。

上述のa、b、c、dは、それぞれインターナショナル、グローバル、トランスナショナル、マルチナショナルのいずれに該当するか。それらの組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

〔解答群〕

  • ア a:インターナショナル   b:マルチナショナル
    c:グローバル       d:トランスナショナル
  • イ a:グローバル       b:インターナショナル
    c:トランスナショナル   d:マルチナショナル
  • ウ a:グローバル       b:トランスナショナル
    c:マルチナショナル    d:インターナショナル
  • エ a:トランスナショナル   b:グローバル
    c:インターナショナル   d:マルチナショナル
  • オ a:マルチナショナル    b:グローバル
    c:インターナショナル   d:トランスナショナル
>> 第 12 問 解答と解説

正解 【イ】

 それぞれの項目を確認していきます。
 aは、グローバルの説明になります。本国を拠点として集中させ、全世界へ発信する事を考慮すればイメージしやすいですね。
 bは、インターナショナルの説明になります。
 cは、トランスナショナルの説明になります。本国や海外拠点の各々で開発された技術・知見が共有されるイメージです。
 dは、マルチナショナルの説明になります。海外拠点が自主独立して活動できるスタイルになります。

第 13 問 ネットワーク外部性

 デファクト・スタンダードやネットワーク外部性に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ア デファクト・スタンダードの確立には、ISOのような国際的な標準化機関が重要な役割を果たすことから、これらの機関での調整や協議を進めることが、デファクト・スタンダードの獲得に向けた中心的な方策となる。
  • イ デファクト・スタンダードは、パーソナルコンピュータやスマートフォンのOS(基本ソフト)のようなソフトウェアにおいて重要な役割を果たすものであり、情報技術が関わらない領域では生じない。
  • ウ デファクト・スタンダードは製品市場における顧客の選択を通じて確立するために、競合する製品や規格の中で、基本性能が最も高いものが、デファクト・スタンダードとしての地位を獲得する。
  • エ 当該製品のユーザー数の増加に伴って、当該製品において補完財の多様性が増大したり価格が低下したりすることで得られる便益は、ネットワーク外部性の直接的効果と呼ばれ、間接的効果と区分される。
  • オ ネットワーク外部性を利用して競争優位を獲得するためには、ユーザー数を競合する製品や規格よりも早期に増やすことが、有効な方策となる。
>> 第 13 問 解答と解説

正解 【オ】

 ア:ISOのような国際的な標準化機関が重要な役割を果たすわけではありません。
 イ:情報技術が関わらない領域においても発生します。
 ウ:必ずしも、基本性能が最も高いものが地位を獲得するわけではありません。
 エ:ネットワーク外部性の直接的効果ではなく、間接的効果の説明となります。
 オ:記載の通りです。

第 14 問 バーナードの組織論

 C.I.バーナードは、経営者の役割を論じるためには、組織についての理解が不可欠だとし、その要素を明らかにした。
 バーナードが示した組織の要素として、最も適切なものはどれか。

  • ア 階層、分権化、統合化
  • イ 計画、指揮、統制
  • ウ コミュニケーション、貢献意欲、共通目的
  • エ 責任と権限の一致、命令の一元性
  • オ 分業、専門化、調整
>> 第 14 問 解答と解説

正解 【ウ】

 バーナードが示した組織が成立するための要素として、相互に意見を伝達する事が可能(コミュニケーション)で、参加する人々は意欲(貢献意欲)をもち、共通の目的の達成を目指すとき成立するとしています。

第 15 問 生産技術の変遷

 企業が利用する生産技術を次の3つに分類して考える。

 1 .大規模バッチのマスプロダクション技術
 2 .小規模バッチ生産技術
 3 .連続的処理を行うプロセス技術

 このとき、次の文章の空欄A~Cに入る技術の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 【 A 】から【 B 】、さらに【 C 】へ移行するにしたがって、一人の監督者の部下数が増し、組織の階層が増え、スタッフやスペシャリストを支援する管理職の比率が増え、一人当たりの労務費が低下する。

〔解答群〕

  • ア A:大規模バッチのマスプロダクション技術
    B:小規模バッチ生産技術
    C:連続的処理を行うプロセス技術
  • イ A:大規模バッチのマスプロダクション技術
    B:連続的処理を行うプロセス技術
    C:小規模バッチ生産技術
  • ウ A:小規模バッチ生産技術
    B:大規模バッチのマスプロダクション技術
    C:連続的処理を行うプロセス技術
  • エ A:小規模バッチ生産技術
    B:連続的処理を行うプロセス技術
    C:大規模バッチのマスプロダクション技術
  • オ A:連続的処理を行うプロセス技術
    B:小規模バッチ生産技術
    C:大規模バッチのマスプロダクション技術
>> 第 15 問 解答と解説

正解 【ウ】

 運営管理の知識などを用いて想像すると理解しやすいかもしれませんが、労務・管理・生産量の観点から検討すると、小規模、大規模、連続処理の順に設問の要求に当てはまる事が理解できるかと思います。

第 16 問 コンティンジェンシー理論

 T.バーンズとG.M.ストーカーは、外部環境の不確実性がそれに適した組織内部の管理システムに影響を与えることを明らかにした。彼らは「機械的管理システム(mechanistic management system)」と「有機的管理システム(organic management system)」という2つのモデルを提唱した。
 これらのモデルに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ア 不確実性が高い環境下では、階層トップへの知識が集中し、階層構造を強化する有機的管理システムが有効である。
  • イ 不確実性が高い環境下では、各タスクと全体状況や技術との関係が希薄な有機的管理システムが有効である。
  • ウ 不確実性が高い環境下では、タスクそのものや優れた仕事をしようとすることへのコミットメントが強い有機的管理システムが有効である。
  • エ 不確実性が低い環境下では、横断的相互作用を通じたタスク間の調整を重視する機械的管理システムが有効である。
  • オ 不確実性が低い環境下では、上司の指示や命令に支配された職務よりも、スタッフによる助言的内容のコミュニケーションが重視される機械的管理システムが有効である。
>> 第 16 問 解答と解説

正解 【ウ】

 ア:階層トップへの知識が集中し、階層構造が強化されるという点が誤りです。
 イ:各タスクと全体状況や技術との関係が希薄であるという点が誤りです。
 ウ:記載の通りです。
 エ:機械的管理システムではなく、有機的管理システムの説明になります。
 オ:機械的管理システムではなく、有機的管理システムの説明になります。

第 17 問 企業組織の発展過程

 ある時点で特定の組織形態を採用している企業でも、経営戦略に従って新たな組織形態に移行していくべき場合がある。その場合、単純な発展段階を経るというよりも、経営者の意思決定によって、異なる経路をたどる可能性がある。J.R.ガルブレイスとD.A.ネサンソンは、経営戦略とそれによって採用される組織形態の可能な組み合わせを、組織の発展段階モデルとして定式化した。
 下図は、彼らがモデル化した企業組織の発展過程を図示したものである。図の【   】は組織形態を、 は経営戦略をそれぞれ表している。
 図の中のA~Dに当てはまる経営戦略の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

〔解答群〕

  • ア A:関連多角化     B:垂直統合
    C:非関連多角化    D:非関連事業の買収
  • イ A:垂直統合      B:関連多角化
    C:規模の経済の活用  D:非関連事業の買収
  • ウ A:内部成長の強化   B:関連多角化
    C:垂直統合      D:非関連多角化
  • エ A:非関連多角化    B:規模の経済の活用
    C:垂直統合      D:内部成長の強化
>> 第 17 問 解答と解説

正解 【イ】

 企業の組織形態についての設問になり、単純な組織からグローバル企業へ辿るまでの変遷についてどのような意思決定・経営戦略が発生しうるのかという点を確認する事になります。
 実際の試験では、知識として体得できていない場合に1つ1つを確認していくと時間を浪費してしまうので、消去法等を用いて解答を進める事になります。
 まずは【A】の矢印を見た際に、単一職能組織から集権的職能部門制組織に組織が推移する際にとられた経営戦略としては「多角化」では意味がそぐわない事は理解できるかと思います。これにより、選択肢のアとイは候補から外す事ができるかと思います。
 次に、選択肢イとウでは【B】が「関連多角化」で共通であため【C】&【D】で判断する事になりますが、いずれも類似した文言です。ただ、世界的複数事業部制組織から世界的持株会社となる【D】の選択肢においては「非関連多角化」よりも「非関連事業の買収」が相応しいと考えられますので、選択肢をイに絞り込む事ができます。

第 18 問 リーダーシップ理論

 組織メンバーの帰属集団に対する一体化とリーダーシップに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ア 集団の凝集性が高いほど、個人が集団の意思決定に参加していると感じる程度が低くなり、集団圧力が弱くなるので、公式の権限に基礎を置くリーダーシップが有効になる。
  • イ 集団の中で個人の欲求が充足される程度が高くなると、特に集団の目標に一体化する必要がなくなるので、集団内の相互作用を支援するようなリーダーシップが必要になる。
  • ウ 組織の外部に参加することができる代替的選択肢を持っているメンバーは、帰属集団の目標への一体化の程度が高くなるので、集団外部の人々と交流を促すリーダーシップが有効になる。
  • エ 他の集団との競争が激しくなる中で、帰属集団の威信が高くなると、集団に対する一体化の程度が強くなるので、上位集団や他の集団に対する影響力を持ったリーダーシップが有効になる。
>> 第 18 問 解答と解説

正解 【エ】

 ア:集団の凝集性が高まると、個人が集団の意思決定に参加していると感じる程度は高くなります。
 イ:個人の欲求の充足度が集団による場合は、集団の目標に一体化しようとする必要性が高まります。
 ウ:代替的な選択が可能ということは、集団の目標に一体化しようとする必要性が低くなります。
 エ:記載の通りです。

第 19 問 モチベーション理論

 期待理論における、組織メンバーのモチベーションの水準を規定する要因に関する記述として、最も不適切なものはどれか

  • ア 成果が自身の報酬につながるかについての認知
  • イ 他者の報酬と比較した自身の報酬に対する認知
  • ウ 努力することで成果をあげられるかについての期待
  • エ 報酬がもたらしうる満足の程度
>> 第 19 問 解答と解説

正解 【イ】

 ア:該当します。
 イ:期待理論は内的な動機付けなどによるものですので、他者との比較で認知するものではありません。
 ウ:該当します。
 エ:該当します。

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第 20 問 職務特性モデル

 職務特性の代表的なモデルであるJ.R.ハックマンとG.R.オルダムのモデルに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ア 上司からのフィードバックの程度が低く、職務の自律性が高い場合、内発的動機づけが高まる。
  • イ 職務が細分化され、他の職務への依存度が高い場合、その職務の有意義感は高まる。
  • ウ 職務に対する有意義感の実感、責任の実感、結果についての理解、の3つがそろうと、内発的動機づけが高まる。
  • エ 成長欲求が高い従業員ほど、職務特性に関わりなく、内発的動機づけが高くなる。
>> 第 20 問 解答と解説

正解 【ウ】

 ア:上司からのフィードバックについて論点を限定するものではありません。
 イ:他の職務への依存度が高いことにより、職務の有意義感が高まることはないと言えます。
 ウ:記載の通りです。
 エ:職務特性に関わりが無いという事もない。

第 21 問 経験学習モデル

 D.コルブが提唱した経験学習モデルによると、人の学習は4つの要素から成り、ある要素が別の要素の前提となるというサイクルを形成する。
 下図の空欄A~Cに当てはまる用語の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

〔解答群〕

  • ア A:具体的経験   B:概念的抽象化  C:内省的観察
  • イ A:具体的経験   B:内省的観察   C:抽象的概念化
  • ウ A:抽象的概念化  B:具体的経験   C:内省的観察
  • エ A:抽象的概念化  B:内省的観察   C:具体的経験
  • オ A:内省的観察   B:概念的抽象化  C:具体的経験
>> 第 21 問 解答と解説

正解 【イ】

 経験学習モデルにおいては、具体的経験⇒内省的観察⇒抽象的概念化⇒能動的実験⇒具体的経験⇒・・・とサイクルを回しながら経験、蓄積するものであるとされておりますので、イの選択肢を選びます。

第 22 問 コンピテンシー理論

 近年の日本では、従業員や求職者が企業にどれだけ貢献できるかについて、採用、能力開発、処遇などの面で、測定・把握しようという動きがある。そのような中で関心が集まっている概念に「コンピテンシー(competency)」がある。
 コンピテンシーに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ア 実際にあげられた顕著な個人的成果は、因果に関わりなく、コンピテンシーに含まれる。
  • イ 性格やパーソナリティについては、直接的に観察することが難しいため、コンピテンシーには一切含まれない。
  • ウ 組織内外の人々との関係性の中で培われた肯定的な評判によって達成された職務上の高い成果や業績は、コンピテンシーに含まれる。
  • エ 組織の成果に結びつく同僚支援という行動特性は、コンピテンシーに含まれる。
>> 第 22 問 解答と解説

正解 【エ】

 ア:顕著な個人的成果については、コンピテンシーと直接関わる、能力というものではありません。
 イ:性格やパーソナリティは、コンピテンシーに含まれます。
 ウ:成果や業績は、コンピテンシーと直接関わる、能力というものではありません。
 エ:記載の通りです。

第 23 問 評価者のバイアス

 次の文章の空欄A~Cに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 採用や選抜、あるいは報酬配分の中で、管理者や人事担当者は、組織に所属する人々を評価しなければならないが、実際の評価の作業では、人間の認知能力に由来したバイアスが度々発生する。
 例えば、評価対象の実態について体系的に把握できる自信がない評価者であるほど、人を甘めに評価するという【 A 】が見られることがある。また、自分の得意な分野を評価することになった評価者であるほど、【 B 】に支配され、その分野について辛めの評価をすることがある。
 さらには、実際に評価すべき項目は極めて多岐にわたるため、多くの評価者が、先に全体の評価結果を決めて、それに沿うように個別の項目の評価を行うことがある。このような評価バイアスを【 C 】と呼ぶ。

〔解答群〕

  • ア A:寛大化傾向  B:厳格化傾向  C:中心化傾向
  • イ A:寛大化傾向  B:対比誤差   C:逆算化傾向
  • ウ A:寛大化傾向  B:対比誤差   C:中心化傾向
  • エ A:論理的誤差  B:厳格化傾向  C:中心化傾向
  • オ A:論理的誤差  B:対比誤差   C:逆算化傾向
>> 第 23 問 解答と解説

正解 【イ】

 評価に関するバイアス(偏見)についての問題になります。解答群から比較的抽出しやすいかと思いますので、使わなかったバイアスについて解説します。
 論理的誤差とは、評価を実施するための事象の結果が他の事象とも関りが深くあると意識的に関連付けて評価を行ってしまうものです。また、厳格化傾向は、寛大化傾向と対象的に厳しすぎる評価となる事であり、中心化傾向については、複数の対象者の評価や評価項目ごとの評価が中央に集中してしまう事を指します。

第 24 問 36協定

 労働基準法第36条の手続きによる労使協定(以下「36協定」という)によって、法定労働時間を延長して労働させることができる時間外労働(ないし時間外労働に休日労働を加えた時間)の上限に関する記述として、最も不適切なものはどれか
 なお、本問中、建設事業、自動車運転手、医師、鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造事業については考慮に入れないものとする。

  • ア 違反に対して罰則が適用される時間外労働(ないし時間外労働に休日労働を加えた時間)の上限に関する規定は、新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務についても適用される。
  • イ 時間外労働の限度時間は、原則として1か月について45時間及び1年について360時間(対象期間が3か月を超える1年単位の変形労働時間制にあっては、1か月について42時間及び1年について320時間)である。
  • ウ 事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に原則としての限度時間を超えて労働させる必要がある場合においては、36協定に特別条項を付加することができるが、それによって労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間は、1か月について100時間未満の範囲内に限られ、並びに1年について労働時間を延長して労働させることができる時間は720時間を超えない範囲内に限られる。
  • エ 使用者は、36協定の定めるところによって労働時間を延長して労働させ、又は休日において労働させる場合であっても、1か月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間は、100時間未満でなければならない。
>> 第 24 問 解答と解説

正解 【ア】

 ア:法改正に伴い、時間外労働の上限に関する規定は、新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務については適用されません。
 イ:記載の通りです。
 ウ:記載の通りです。
 エ:記載の通りです。

第 25 問 フレックスタイム制度

 労働基準法第32条の3に定められた、いわゆる「フレックスタイム制」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ア フレックスタイム制は、一定期間の総労働時間を定めておき、労働者がその範囲内で各日の始業及び終業の時刻を選択して働くことにより、労働者が仕事と生活の調和を図りながら、効率的に働くことを可能とする制度であって、当該一定期間は1か月を超えることはできない。
  • イ フレックスタイム制を採用した場合は、労働基準法第34条第2項に定められた休憩についてのいわゆる「一斉付与の原則」は適用されない。
  • ウ フレックスタイム制を採用する場合であって、対象となる労働者に支払われると見込まれる賃金の額が当該企業における労働者一人当たりの平均給与額の3倍の額を相当程度上回る水準である場合は、労働時間、休日及び深夜労働に関する割増賃金の支払いを要しない。
  • エ フレックスタイム制を採用する場合には、労働基準法第32条の3に定められた労使協定において標準となる1日の労働時間を定めておかなければならない。
>> 第 25 問 解答と解説

正解 【エ】

 ア:清算期間は、3か月以内であれば認められていますので、文章後半、1か月を超える事はできないという点が誤りです。
 イ:一斉付与の原則は適用されます。
 ウ:賃金差異による制限はなく、当該案件について割増賃金の支払いは必要です。
 エ:記載の通りです。

第 26 問 雇用管理

 次の文章は、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」第30条の2に定められた雇用管理上の措置等に関する記述である(同法附則第3条「中小事業主に関する経過措置」により読み替えられたものである)。
 文中の空欄A~Dに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 事業主は、職場において行われる【 A 】を背景とした言動であって、【 B 】範囲を超えたものによりその雇用する労働者の【 C 】が害されることのないよう、当該労働者からの【 D 】に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じるように努めなければならない。

〔解答群〕

  • ア A:育児休業制度の利用  B:母性健康配慮等の
    C:雇用継続の意思    D:申出
  • イ A:使用者の業務命令権  B:労働契約の内容の
    C:健康、安全      D:申告
  • ウ A:性別による差別    B:社会通念上許容される
    C:職業生活       D:苦情
  • エ A:優越的な関係     B:業務上必要かつ相当な
    C:就業環境       D:相談
>> 第 26 問 解答と解説

正解 【エ】

 ハラスメントに関する問題ですが、こちらの文章は法律の規定文言になります。
 職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じるように努めなければならない。

第 27 問 外国人雇用

 外国人雇用及び外国人技能実習制度に関する記述として、最も不適切なものはどれか

  • ア 技能実習とは、人材育成を通じた開発途上地域等への技能、技術、又は知識の移転による国際協力等を目的とするもので、技能実習制度による在留期間は、在留資格の変更又は取得があったとして、一旦帰国する期間を含め最長で5年間とされている。
  • イ 事業主は、新たに外国人を雇い入れた場合には、その者の氏名、在留資格、在留期間、生年月日、性別、国籍・地域等の事項について確認し、当該事項を事業所の所在地を管轄する地方入国管理局に届け出ることが義務づけられている。
  • ウ 特定技能1号は、特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格で、その在留期間は、更新することができ、通算で上限5年までとされている。
  • エ 特定技能2号は、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格で、その在留期間は、通算5年を超えても更新することができる。
>> 第 27 問 解答と解説

正解 【イ】

 ア:特定産業分野に該当する職種の場合においては、この文章は正しいのですが、全ての職種で適用されるかというと疑問は残ります。また、一旦、帰国する期間とは別に2年間延長されるものにはなるので、その点でも疑問は残ります。
 イ:届出先については、地方入国管理局ではなく公共職業安定所になります。
 ウ:記載の通りです。
 エ:記載の通りです。

第 28 問 マーケテイング・コンセプト

 マーケティング・コンセプトおよび顧客志向に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ア 企業は顧客を創造し、顧客の要望に応えることを基礎とする一方で、競合他社との競争にも気を配る必要がある。これらをバランスよく両立する企業は、セリング志向であるということができる。
  • イ ケーキ店Xが「どの店でケーキを買うか選ぶときに重視する属性」についてアンケートを複数回答で実施した結果、回答者の89%が「おいしさ、味」を選び、「パッケージ・デザイン」を選んだのは26%だった。顧客志向を掲げるXはこの調査結果を受け、今後パッケージの出来栄えは無視し、味に注力することにした。
  • ウ マーケティング・コンセプトのうちシーズ志向やプロダクト志向のマーケティングは、顧客志向のマーケティングが定着した今日では技術者の独りよがりである可能性が高く、採用するべきではない。
  • エ マーケティング・コンセプトはプロダクト志向、セリング志向などを経て変遷してきた。自社の利潤の最大化ばかりでなく自社が社会に与える影響についても考慮に入れる考え方は、これらの変遷の延長線上に含まれる。
  • オ マーケティング・コンセプトを説明した言葉の中に、“Marketing is to make selling unnecessary”というものがあるが、これはマーケティングを「不用品を売ること」と定義している。
>> 第 28 問 解答と解説

正解 【エ】

 ア:セリング志向は、名前の通り売り込み型の志向になりますので、選択肢の内容とは異なります。
 イ:味に注力するのは無論ですが、パッケージを26%もの回答者が重視しており、無視はできない数字です。
 ウ:シーズ品からイノベーションが発生する事もあり、採用すべきではないと言い切るものではありません。
 エ:記載の通りです。
 オ:翻訳すれば理解できると思いますが、販売を不要にするということで、不用品を売る事ではありません。

第 29 問 ( 1 ) 市場参入

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 中小企業のX社では、同社が数年間にわたって取り組んできた、温室効果ガスを一切排出しない新しい小型電動バイクの開発が、最終段階を迎えていた。同社では、この新製品を①小型バイク市場または電動アシスト自転車市場等のどのようなセグメントに向けて発売するかについて検討を重ねていた。同時に、②これらの市場においてどのような価格で販売するのがよいかについても、そろそろ決定する必要があった。

(設問 1 )
 文中の下線部①に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ア 小型電動バイクと従来型のバイクとの主な差異は、エンジンの構造などの機能面に限定されるから、小型電動バイクにはライフスタイルに基づくセグメントは適さない。
  • イ 小型電動バイクの走行性能は従来型のバイクに比較して多くの面で劣るため、ベネフィットによるセグメントを検討することは、この製品にとって不利であり、適切ではない。
  • ウ 従来型バイクのユーザーのパーソナリティに関する調査を実施した結果、保守的で権威主義的なユーザーは従来型のバイクを強く好むことが分かったため、これらのユーザーを小型電動バイクのターゲットから除外した。
  • エ 調査を実施した結果、「保育園に子供を連れて行くための静かで小型の乗り物」を求める消費者の存在が明らかになった。セグメントはより細分化することが必要なので、X社では保育園の規模、子供を連れていく時間帯などの変数を用いて、このセグメントをさらに細分化した上で、ターゲットを選定することにした。
>> 第 29 問 ( 1 ) 解答と解説

正解 【ウ】

 ア:機能面に限定されるという事ではなく、住環境などのライフスタイルに基づくセグメントには適していると考えられます。
 イ:走行性能だけが顧客の要求ではないと考えられることから、ベネフィットによるセグメントの検討が、この製品にとって不利ということではありません。
 ウ:記載の通りです。
 エ:セグメントの細分化において、保育園の規模や時間帯が製品の性能や購買行動に関連する事象ではないと見込める事から不適切だと考えられます。

第 29 問 ( 2 ) 価格設定

(設問 2 )
 文中の下線部②に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ア X社は、小型電動バイクの開発に要した数年にわたる多大な費用を早期に回収するため、初期価格を高く設定すると同時に多額の広告費を集中投入して、短期間に市場から利益を得る市場浸透価格戦略を採用することにした。
  • イ X社は、小型電動バイクの発売に当たり、性能の差により下からA、B、C、Dの 4 モデルを検討していた。モデル間の性能差は実際には大きくないが、消費者に最上位モデルであるDの品質をより高く知覚してもらうため、モデルAからCまでは小刻みの価格差、CとDの間にはやや大きめの価格差を設定した。
  • ウ あらかじめプロトタイプのテストを繰り返し、最終的に販売を想定した製品のコストに基づいて価格を決める「ターゲット・コスティング」の方法で価格を設定した。
  • エ 小型バイク市場では、非常に多くの競合企業間で激しい競争が展開されているため、売り手であるX社だけでなく、買い手である多くのユーザーも市場価格に対する極めて大きな影響力をもつ。
  • オ ユーザーが製品やサービスのベネフィットに対して支払ってもよいと考える対価をベースに設定されるさまざまな価格設定方法を、一般にコストベース価格設定と呼ぶ。
>> 第 29 問 ( 2 ) 解答と解説

正解 【イ】

 ア:市場浸透戦略(ペネトレイション戦略)は、初期に低価格で市場に投入し製品を流通させる施策です。
 イ:記載の通りです。
 ウ:ターゲット・コスティングの考え方は、先に価格を設定し、それに基づきコストや差引利益を設定する考え方です。
 エ:多くの競合企業間で激しい競争が展開されているのであれば、X社の交渉力は弱まる(=市場価格への影響力が弱まる)と予想されます。また、買い手のユーザーにおいても、価格設定における極めて大きな影響力をもつとまでは言えません。
 オ:コストベース価格設定(コストプラス法)は、生産に要した費用の合計から価格設定を考慮する方法となります。

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第 30 問 広告戦略

 広告に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ア BtoBマーケティングのコミュニケーションにおいては、受け手は特定少数の顧客であるため、広告は不要である。
  • イ 広告効果階層モデルのうち「DAGMAR モデル」は、Desire,Attention,Grade,Memory,Action,Recommendation を意味し、近年のオンライン上の消費者行動を表す。
  • ウ 広告予算の算出方法には売上高比率法、競争者対抗法、タスク法などがあるが、これらのどれも用いずに、単純に前期の広告予算実績に基づいて広告予算を決めている企業も多い。
  • エ テレビCMでメッセージを途中まで流し、「続きはこちらで」などとして検索ワードを表示しWebに誘導しようとする方法は、「ステルス・マーケティング」として非難される場合が多く、消費者庁も注意を喚起している。
>> 第 30 問 解答と解説

正解 【ウ】

 ア:要件に間違いがあるとは言えませんが、広告が不要という事ではありません。
 イ:オンライン上の消費者行動を表したものではなく、広告の目的を定義してその効果を測定するモデルになります。
 ウ:記載の通りです。
 エ:ステルス・マーケティングは、消費者に対して広告である事を明示せずに情報提供に類似する行為を実施する行為になります。選択肢の内容はティーザー広告の事を指しています。

第 31 問 デジタル・マーケティング

 デジタル・マーケティングに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ア O2O 戦略は、デジタル時代の消費者がオンラインとオフラインを行き来し、認知・検討と購買が分離する傾向があるという問題への企業による対応策の1つである。
  • イ クラウドソーシングにより製品開発を行おうとする企業が、そのために開設するネットコミュニティにおいては、参加者同士のコミュニケーションが活発に行われなければ、製品開発は成功しない。
  • ウ プラットフォーマーとは、異なる複数のユーザー・グループを結びつけ、交流させて価値を創出しつつ、同時にこれらのユーザー・グループに向けて自社の製品・サービスの販売も行う事業者を指す。
  • エ ユーザーにとってのプラットフォームの価値は、ユーザー間のネットワーク効果によって作り出されるものであり、プラットフォーム自体によって作られるものではないから、プラットフォームを切り替えても特にスイッチングコストは発生しない。
  • オ レンタルでは製品の貸し手は自社で保有する製品を貸し出すが、シェアリング・サービスは製品を所有するユーザー間をマッチングするだけであり、シェアリング・サービスの事業者が製品を所有することはない。
>> 第 31 問 解答と解説

正解 【ア】

 ア:記載の通りです。
 イ:参加者同士のコミュニケーションが活発に行われるかどうかが、製品開発の成功の要因とはなっていません。
 ウ:プラットフォーマーの利益の源泉は、取引に関連する利用料や手数料などになります。
 エ:プラットフォームを切り替える事で、ネットワーク効果による効用が消失するため、スイッチングコストは発生します。
 オ:シェアリング・サービスの事業者が製品を所有する事もあり、レンタル事業等を並行して行っている事があります。

第 32 問 ( 1 ) マーケティング・調査手法

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 文具の製造・販売を行う中小企業のA社は、従来、売上の多くを大手文具メーカー向けの多様なOEM製品からあげてきた。しかし社会のデジタル化が進む一方で、アナログな文具の人気が高まりつつある昨今の市場環境を鑑みて、A社では今後自社ブランドによる文具の製造・販売を拡大していくことを検討していた。
 A社では、働く若い女性や女子学生が、オフィスや自宅、学校で使用する文具が有望ではないかとかねてより考えており、①このセグメントにおけるニーズを探り、確認するためのさまざまな調査を実施することを計画していた。
 またこれと並行して、同セグメントに向けて自社ブランドによる製品を発売する場合、どのような②製品ミックスとすべきかについても、検討を重ねていた。

(設問 1 )
 文中の下線部①に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ア オフィスで働く数名の若い女性を対象としたフォーカスグループ・インタビューを実施することにより、このセグメントのニーズに関する一般論を導き出すことができる。
  • イ オフィスや自宅、学校における文具の利用に関するエスノグラフィー調査を実施したところ、フォーカスグループ・インタビューとは異なる結果が得られた。そのため両者の結果を考慮して製品開発を進めることにした。
  • ウ 調査には、質問票を用いる方法や機械装置を用いる方法などがある。後者には調査対象者の身体的反応を測定する方法なども含まれるが、これにより得られるデータは複雑であるため、データの分析や解釈、調査結果から導かれる戦略策定などは、リサーチャーに任せるべきである。
  • エ 調査を実施する前に、このようなニーズに関して社外ですでに行われた調査や報告などA社にとっての一次データを入手できないか、十分に検討する必要がある。
>> 第 32 問 ( 1 ) 解答と解説

正解 【イ】

 ア:一般論を導くためのインタビュー人数としては、数名では導出が難しいと考えられます。
 イ:記載の通りです。
 ウ:リサーチャーに調査依頼を行う事については問題ないですが、戦略策定などの意思決定は当該事業者の意思決定が必要になります。
 エ:選択肢の内容は二次データのことを指しています。一次データについては調査目的に照らし合わせ自ら収集したデータを指します。

第 32 問 ( 2 ) 商品展開手法

(設問 2 )
 文中の下線部②に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ア  1つの製品ラインには1つのブランドが対応していなければならないため、A社では発売する製品ライン数と同じだけのブランドを用意する必要がある。
  • イ A社が発売を計画している小型のホチキスについては、価格や色のバリエーションを用意することにより、複数アイテムで販売することを検討していた。
  • ウ A社の競合企業であるS社では、販売中の文具における特定の製品ラインのアイテム数を実験的に減らしてみたところ、売上と利益がともに増加した。この結果からS社は、この製品ラインの幅が広すぎると判断した。
  • エ 製品ラインを立案するためには、一般的には想定する製品ラインを構成するすべての製品ミックスと製品アイテムを検討する必要がある。
>> 第 32問 ( 2 ) 解答と解説

正解 【イ】

 ア:1つの製品ラインに1つのブランドが対応していなければならないことはありません。
 イ:記載の通りです。
 ウ:製品ラインの幅が広すぎると判断する理由としては弱いと考えられます。
 エ:製品ラインと製品アイテムにより、製品ミックスが構成されます。

第 33 問 消費者と社会アイデンティティ

 消費者と社会的アイデンティティに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ア 感覚や好みに基づいて選択される場合と異なり、専門的知識が必要な製品やサービスに関しては、消費者は属性や価値観が自分と類似している他者の意見やアドバイスを重視する。
  • イ 自己アイデンティティを示すため、消費者は拒否集団をイメージさせるブランドの選択を避ける傾向がある。この傾向は、他者から見られている状況において行う選択よりも、見られていない状況において行う選択で顕著に強くなる。
  • ウ 自己概念において社会的アイデンティティが顕著になっている場合、自分が所属している内集団で共有される典型的な特徴を支持するようになる一方、自分が所属していない外集団すべてに対して無関心になる。
  • エ 自分に影響を与えようとする意図をもった他者が存在する場合、消費者の行動はその他者から強く影響を受ける一方で、単にその場にいるだけの他者からは、影響を受けることはない。
  • オ 自分に対する他者からの否定的な評価を避け、肯定的な評価を形成していこうとする欲求は自己高揚と呼ばれる。自己高揚のレベルが高い消費者は、自分の所属集団よりも、願望集団で使用されているブランドとの結びつきを強める傾向がある。
>> 第 33 問 解答と解説

正解 【オ】

 ア:感覚や好みに基づいて選択する場合の説明となっています。
 イ:他者から見られている状況において行う選択の方が、顕著に強くなります。
 ウ:すべてに無関心になる訳ではありません。また、相反する集団に対して批判的になる傾向があります。
 エ:必ずしも影響を受けることはなく、また、その場にいるだけの他者からも影響を受けることがあります。
 オ:記載の通りです。

第 34 問 ( 1 ) ブランド戦略

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 企業は、ブランド・エクイティを創出し、維持し、強化するために、①自社ブランドの市場状況と製品状況を考慮しながらブランド戦略を展開している。その成果を示す 1 つの指標が、毎年、ブランド価値評価の専門会社から発表される企業ブランド価値ランキングであり、それはランキングが上位であるほど②強いブランドであることを示している。

(設問 1 )
 文中の下線部①に関して、以下の表は、自社ブランドの市場状況と製品状況によって、当該ブランドが採るべき戦略を検討する際の戦略枠組みである。自社の既存ブランドが、既存市場において、新たなブランド名を付すことによって再出発を図るというCに該当する戦略として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
 ここでいう市場とは、ニーズや用途を意味する。

〔解答群〕

  • ア ブランド・リポジショニング
  • イ ブランド開発
  • ウ ブランド強化
  • エ ブランド変更
>> 第 34 問 ( 1 ) 解答と解説

正解 【エ】

 ア:既存ブランドを新規市場で展開する形となりますので、Bに該当します。
 イ:新規ブランドを新たに開発し、新市場に展開する形となりますので、Dに該当します。
 ウ:既存ブランドを、既存市場でより強化する施策となりますので、Aに該当します。
 エ:記載の通りです。

第 34 問 ( 2 ) ブランド

(設問 2 )
 文中の下線部②(※②強いブランド)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ア 近年のグローバル版の企業ブランド価値ランキングではGAFAのような IT企業ブランドが存在感を増す中、日本版の企業ブランド価値ランキングでもモノを中心に据えたブランドではなく、IT企業ブランドが上位を占めている。
  • イ 消費者のブランド選択は、想起集合に含まれる比較的少数のブランドの中から行われる。しかし、近年のブランド数の増加に伴い想起集合サイズは大きくなっているため、強いブランドが想起集合にとどまることは以前より容易になっている。
  • ウ 成分ブランディングは自社ブランドの品質評価を高める有効な方法である。強いブランドほど、採用した成分ブランドによって良いイメージが生まれるため、1つの成分ブランドを採用する。
  • エ 同等の製品でも、強いブランドを付した製品は高値で取引されたり売上数量が増加したりするなど、ブランドには顧客の知覚を変化させる機能があり、他のブランドとの違いを生み出す原動力となっている。
  • オ ブランド・エクイティとは、「同等の製品であっても、そのブランド名が付いていることによって生じる価値の差」であり、多くのブランド連想を有するほどブランド・エクイティは高くなる。
>> 第 34 問 ( 2 ) 解答と解説

正解 【エ】

 ア:自動車メーカー等が上位を占めており、本選択肢の内容とは異なります。
 イ:想起集合自体のサイズ(数)は多くなく、限定的です。
 ウ:最終製品に用いられる原材料や構成要素のブランド力を借りるものですが、必ずしも1つに限定されるものではありません。
 エ:記載の通りです。
 オ:ブランド・エクイティとは、ブランドそのものが保持する価値であり、ブランドの違いによって価値の差が生じている事を指しているのではありません。

第 35 問 ソサイエタル・マーケティング

 ソサイエタル・マーケティングに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ア 「啓発された自己利益(enlightened self-interest)」の考え方のもとで行われる社会貢献活動であるため、長期的あるいは間接的にも企業やブランドのイメージ、ブランド・ロイヤルティといったマーケティング成果への効果は期待されていない。
  • イ 消費者の長期的な利益あるいは社会的利益に配慮してマーケティングを行うということだけでなく、それを企業の長期的な経営計画と統合することを目指すマーケティングはサステイナブル・マーケティングと呼ばれるが、これとソサイエタル・マーケティングは同義で使われている。
  • ウ 製品の売上の一定額を社会的課題の解決のために寄付する行為はコーズリレーテッド・マーケティングとも呼ばれ、実務において社会的価値と密接に結びつけられたソサイエタル・マーケティングの一部である。
  • エ 病院、大学、協会、NGO などの非営利組織で培われた考え方を営利組織にも適用したマーケティングである。
>> 第 35 問 解答と解説

正解 【ウ】

 ア:マーケティング成果への効果が期待されるものとなります。
 イ:各々は同義の内容ではありません。
 ウ:記載の通りです。
 エ:ソサイエタル・マーケてィングは、非営利組織で培われた考え方を営利組織にも適用したマーケティングではありません。

第 36 問 パッケージ・デザイン

 パッケージ・デザインに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ア 多くのパッケージ・デザインにおいて蓋(ふた)は左に回せば開くようになっているように、パッケージでは人にある行動を自然に起こさせるアフォーダンスが重視される。しかしコモディティ化が進む中、アフォーダンスとは異なる新しい使い方の提案は、パッケージを通して差別化を図り、価値を高めやすい。
  • イ 消費者がブランドに対して抱くイメージに対してパッケージ・カラーは強く影響を与えるため、食品パッケージの色を濃くすることによって濃い味の商品であることを伝達することができる。しかし、パッケージ・カラーの色の濃さが、実際の商品の味覚にまで影響することはない。
  • ウ 脳の半球優位性に基づくと、パッケージにおいて画像は右に、文字は左に配置したほうが商品の評価を高めることができるため、このルールはほとんどのパッケージ・デザインで採用されている。
  • エ パッケージにおける便宜価値は、開けやすい、使いやすい、持ちやすい、捨てやすいといったパッケージの改良によって高めることができる一方、感覚価値は、パッケージ・デザインに対する情緒面の感覚が中身にまで移るような感覚転移の効果を生じさせることによって高めることができる。
  • オ ブランドを他の文化圏へ拡張する際に、パッケージがブランド・エクイティの維持や活用にどの程度役割を果たすかという点で評価される基準は、防御可能性と呼ばれる。パッケージ上のネームやカラーは、拡張先の特徴や文化的意味合いを考慮しながら移転を進める必要がある。
>> 第 36 問 解答と解説

正解 【エ】

 ア:アフォーダンスと異なる使い方の提案が、効果的な差別化や価値の向上に繋がるということではありません。
 イ:商品イメージにより、効果を想起(レモンの絵を見て酸っぱさを感じる等)させ、味覚へ影響を与える場合があります。
 ウ:ほとんどのパッケージ・デザインで採用されているわけではありません。
 エ:記載の通りです。
 オ:本件は、移転可能性の内容になります。

第 37 問 ( 1 ) サービス・マーケティング

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 サービス・マーケティング研究は、①顧客満足研究と相互に影響しあいながら新しい考え方を生み出してきた。市場の成熟化にともない②経済のサービス化が進む中、顧客満足を追求する企業のマーケティング手法にも、新しい発想が求められている

(設問 1 )
 文中の下線部①に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ア 企業の現場スタッフが顧客と接する瞬間における顧客満足を向上させ、好ましいブランド体験を安定的に提供するためには、顧客に接する最前線の現場スタッフの権限を高める一方、中間のマネジャーは現場スタッフを支援する役割を担う。
  • イ 新規顧客の獲得が難しい現況においては、不良顧客に対して最も多くの企業資源を配分し、彼らの顧客レベルを上げるべく積極的にサービスを展開し、サービスからの退出を防ぐべきである。
  • ウ 中程度に満足している顧客でも、簡単に他社へスイッチすることがなく、値引きに対する要求は少ないため、今日的な顧客満足戦略では、不満状態から満足状態への引き上げを極めて重視している。
  • エ 日本では高度経済成長期の頃から、企業は新規顧客の獲得よりも既存顧客維持の重要性を認識していた。
>> 第 37 問 ( 1 ) 解答と解説

正解 【ア】

 ア:記載の通りです。
 イ:不良顧客ではなく、優良顧客にも企業資源を配分して対応を行っていくことも重要です。
 ウ:選択肢の内容は重要な項目ではありますが、スイッチングコスト等を確保できる場合は、極めて重視するという事ではありません。
 エ:高度経済成長に伴い、ターゲットとする顧客層が増加したことから、新規顧客を獲得する事を主として活動してきています。

第 37 問 ( 2 ) サービス・ドミナント・ロジック

(設問 2 )
 文中の下線部②に関して、サービス・マーケティングにおいて注目されているサービス・ドミナント・ロジックに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ア 近年のサービス・ドミナント・ロジックに基づく製品開発においては、他社の技術や部品を採用したり、生産や設計のアウトソーシングを進めたりして、製品の機能やデザイン面の価値を高めることを重視している。
  • イ サービス化の進展は、サービス・エンカウンターにおいて高度な顧客対応能力を有する従業員の必要性を高めている。しかしながら、売り手と買い手の協業によって生産される価値はサービス財より低いため、製造業においてはインターナル・マーケティングは必要ない。
  • ウ 製造業では、商品におけるモノとサービスを二極化対比することによって、モノとは異なるサービスの特性を明らかにし、サービスの部分で交換価値を最大化する方向を目指すべきである。
  • エ 製造業は、製品の使用価値を顧客が能動的に引き出せるようにモノとサービスを融合して価値提案を行うことが望ましい。例えば、顧客に対して、コト消費を加速させる製品の使用方法を教育するイベントを開催したり、その情報を積極的に発信したりすることなどである。
>> 第 37 問 ( 2 ) 解答と解説

正解 【エ】

 ア:製品の機能やデザイン面の価値を高めることを重視しているのではなく、サービスの向上を重視しています。
 イ:売り手と買い手の協業によって生産される価値はサービス財より低いということはありません。
 ウ:製造業において、モノとサービスを二極化対比するものではありません。
 エ:記載の通りです。

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