実体験|企業内診断士として過ごした1年間の話

企業内診断士って実際どうなの?

中小企業診断士の資格取得を目指す方のうち、全員の方が独立を考えている訳ではないと考えられますが、一方で、独立しないのに中小企業診断士の資格を取得して意味があるのか?と不安になっている方もいらっしゃるんじゃないかなと思います。

中小企業診断士として独立された先生方の情報は、検索すれば割とすぐに出てくるぐらい皆さん情報発信をされていますが、一方で、企業内診断士の方についてはなかなか情報が見つかりにくいのではないかと思います。

そこで、今回は、中小企業診断士試験合格後、独立をせずに企業内診断士として1年間を過ごした私の話をベースに、企業内診断士になるメリットについてお話させていただきたいと思いますのでご興味ある方はご一読ください!

目次

実際に資格取得後に変化はあったのか?

結論:ものすごく変化がありました。

資格試験合格後の1年間で、実質的にも精神的にも大きな変化がありました。

例えば、年収はかなりUPしましたし、新たに経営企画の仕事についたり、社内講師になったり、昇進したり、社外評価も高まったり、視野が広がったり…!

そんな話をこれからしていきたいと思います。そんなパターンもあるのか!と思ってもらいながら読んでもらえると嬉しいです。

そもそも、資格への挑戦を社内で公言していたのか?

中小企業診断士試験への挑戦を行っている事を、あえて会社には伏せている方も多いんじゃないかと予想します。私も、当初同じようにひっそりと独学で挑戦していました。

ただ、どうせ時間をかけて挑戦するなら、ある種公言してしまうことによって自分を追い込む事ができるのではないか?と考えました。背水の陣ではないですが、良い意味でのプレッシャーにもなるかなと思いまして、会社の目標管理制度や自己啓発としての申請などを通じて提出もしましたし、上司や一部の仲の良い同僚には伝えていきました。

そして、合格後には速やかに会社へ報告もさせて頂くことになったんですが、結果的に、私は公言しておいて良かったと考えています。後出しじゃんけんみたいな形で報告するのではなく、正々堂々と”とったどー!”的な宣言ができました。笑

また、目標管理制度や自己啓発上でも報告していた事により、合格によって単純に評価をUPさせる事が出来たという点でも個人的には良かったなと思っています。

キャリアパスへ影響はあったのか?

キャリアパスの変化についてはあったかなと考えています。私は令和2年度の合格なのですが、この年はコロナ禍の影響で例年よりスケジュールがかなり前倒しになっていました。二次筆記試験の結果発表が12月11日、口述試験も12月20日に実施され、年始早々に診断士試験の合格発表があったようなスケジュールでした。

このようなスケジュール感の中で、先ほど申し上げた通り早々に社内へ報告した結果によるものだと思いますが、その年の4月に行われる人事異動で経営企画への兼務辞令が発令されました。資格取得前の時点では、管理部門で人事を担当する管理職(課長)の立場で仕事をしていたのですが、そこに経営企画という仕事の幅が追加されたようなイメージです。

更に、その年の6月、前任の人事部長が個人的な都合で退職することになりました。ポストが空いた結果ですが、その際に後任として推薦いただき部長職に昇進しました。ちなみに、着任時点でまだ36歳だったので、世間一般の部長職になられている方々から考えると一回りぐらい若く昇進しているような状況かと思います。

後任者検討の折、転職組だった私はこの時点で社内歴もまだ6年程度と浅く、他部署から部長級を引っ張ってくるという話もあったそうですが、そのまま推薦してもらえたのは、これまでの経験・実績だけではなく、そこに中小企業診断士という付加価値を加える事ができたおかげなんじゃないかと今は考えています。

なお、昇進に伴って年収も百万円単位でウンと上がりました。笑

仕事内容などで直接的に感じる変化はあったか?

私は人事部門に所属していて管理職をしているので、資格取得前から賞与査定・全体の原資決定する支給係数などの交渉案を検討する立場にあったのですが、これまで根拠としていた決算数字の見方などについて、診断士の勉強を始めてから大幅に内容理解のスピードや深さなどの面で向上したと体感的に感じます。(*二次試験の事例Ⅳの経営分析をイメージしてもらえると分かりやすいかなと思います。)

そこから分析した資料の提案内容や、根拠付けの的確さ、また経理部門や経営層との折衝などにおいて討議する際の意見内容についても、資格取得を通じた勉強のおかげで質が上がったと評価をいただけています。実務面でもすぐに役立つ場面があるのも、資格取得のモチベーションに繋がるところではないかなと思います。

また、経営企画としての兼務開始後、中小企業診断士の試験勉強を通じて得た学びを参加者に教えていくという形で社内講師をお願いされました。

受講者は20名程に対し、一回30分〜60分の間で企業経営理論をベースに講義を実施させて頂いています。レジュメ作成についても割と大変ではありますが、自分が学習したテキストなども参考にしつつ要点をまとめ、教科書的な部分からスタートするような感じで進めています。参加いただいた社員からは概ね良い評判を頂けており、その講義を聞いていたうちの2人が中小企業診断士試験に興味をもって勉強をされ始めたことを聞き、これについてはちょっと嬉しいなと感じています。笑

その他、中期経営計画の内容・進捗審査や事業部門ごとの課題管理、事業間の調整などの業務にも携わらせて頂いていますが、中小企業診断士と経営企画の業務はとても相性が良い組み合わせだなと今でも思っています。

社内・社外からの評価について

サラリーマンが取得したい資格や学び直しをしたい資格の第一位!と某新聞で過去に記載されていましたが、個人の感想としては、中小企業診断士そのものに関する認知・評価度合いは経営層や上位役職者ほどよく把握されており、担当者レベルの方の中ではそこと比較すると少し認知度が下がるように感じています。

実際に、資格取得後は格段に経営層との対話機会も増えましたし、ボードメンバーの参謀役として、経営層の出席する会議の場で意見を求められる機会もありました。

上位層の支持があり、一方で、担当者からの認知はそこまで高くないというポジションの資格なので、社内評価的にはブルーオーシャンの位置付けなのではないか?とも思います。ただそれは、取得に苦労する点もあって比較対象者が少ないからかもしれません。笑

次に、外部的な評価についてもサラッとお話しします。

まず、私個人としては、以前よりお付き合いのあった個人事業主の方々の経営分析や業務改善に携わったりする機会が増えました。その中で実務的な経験も積んでいっていますが、ここでもやはり資格の有無による信頼度の向上や、学びの内容による発言力の底上げはあるように思います。

他には、企業内診断士であっても、人によっては副業の紹介(経営相談、補助金申請、執筆、講演など)が舞い込む事もあります。こちらについては、他の独立診断士さんや副業診断士さん達の活動と同じ内容になりますので、他の先生方が実体験として色々と詳しく情報発信されているので今回は割愛させていただきます。

また、少し特殊なところでいくと不動産関係の紹介案件もあったりしました。私は実際にこの不動産関係の副業も行っているんですが、現在の自宅のローンもまだある中ですが、追加融資としてあえてローンを借りる形での運用をしたりしています。

その折、借り入れ審査を行っている金融機関さんにおいて中小企業診断士の認知度は高く、資格取得・昇進後の役職・年収アップなどの総合力が功を奏したのか、融資審査はめちゃくちゃスムーズでした。社会的信用度が高まってるのか!?という実感もここで肌感覚として分かったようなところです。このように、実質的・内面的な部分以外にも、個人として外部評価も高まるという事があるという点で、私が経験した代表的なものをお話させていただきました。

中小企業診断士の資格は転職に有利なのか?

元々、転職しようと思って資格取得を目指していた人もいれば試験合格後に転職活動を始める人など、合格後に転職活動に励む方をチラホラと見かけます。

そんな点から、中小企業診断士の資格は転職に有利なんじゃないか?という話になろうかと思いますが、結論から言うと、中小企業診断士資格が直接的に転職活動に影響する事はどちらかと言えば少ない方なんじゃないかなと思います。

理由として、中小企業診断士の資格自体はコンサルティングとしての国家資格になりますが、持っていたからといってコンサル業界にダイレクトでプラスに働く影響があるか?と問われると…そうではないという点からです。

一方で、中小企業診断士の資格取得を通じて得た知識、思考力、努力を継続できる姿勢や視野の広がりなどの能力向上は、転職活動にかなり役立つと思われます。転職活動において、自身の能力や志向を裏付ける根拠として資格取得のプロセス等も含めて面接などの場で語る事ができるようになっているからです。

また、ご自身のキャリアを多面的に俯瞰してSWOT分析等をかける技術も二次試験等を通じて養われていますので、そうした能力を如何なく発揮していただければ、資格取得以前と比べた場合、遥かに優位に転職活動が出来るのではないでしょうか。

なお、職種によっては診断士資格そのものを評価してもらえることも当然ながらありますので、転職のために合格を目指している方は引き続き頑張ってください!

その他、何か変わった部分があるか?

診断士をとって精神的な面で良かったことがあるので紹介します。

一つ目は、学ぶことに対する意識は高く・ハードルは低くなったことです。

これは、企業内診断士としてせっかく評価してもらった事を裏切らないようにという面もありますが、自分自身、どこかでせっかく頑張って診断士を取得したんだから良い意味でプライドを持っておきたいといった力も働くように思います。そういう面において、学ぶという事に対するエンジンがかかり続けている状態だと認識することができます。

二つ目は、働き方という面で会社への依存度が大幅に下がったことです。

これは、別に、会社に対する忠誠心的なものが下がるとかどうこうという話ではなく、現在勤めている企業だけでの評価にとらわれず、もっと広く社会的に評価される人材になることができたという事です。
具体的には、独立を視野に入れることができたり、ステップアップや職種転換のための転職も検討できたり、副業のとしての収入も見込めたりと多様な選択肢が広がり、尚且つその舵を自分で握ることができるようになるので会社に対する精神的な依存度がグッと下げられるということになります。サラリーマンをしていると、意外と一社の中での評価に目線がとらわれていたりしますので、そうした意味で目の前がパッと開けて明るくなり、心に余裕が生まれる状態になるという事です。

こうした感覚については、資格取得後に多くの方が実感できるようになりますので、挑戦中の皆様は夢を持って引き続き合格を目指して頑張って頂きたいなと思っています。

おわりに

今回は私が実際に体験した1年間の話を軸として記載させていただきましたが、読者の皆様の中には、色々と悩まれながら読んでいた方もいらっしゃると思いますし、資格を取得しただけでそんなに変わる?とツッコミたい方もいるかと思います。

中小企業診断士資格だけではなく、それ以外の要素・運・タイミングなどの関係もあるかもしれませんし、診断士の資格を取った人全員が変わるのか?と言われると保証はできない話ではあります。

それでも、私が伝えたいのは、ごく普通のサラリーマンにも実際にこの1年でこのような大きな変化が起きた事実がある!ということであり、皆さんにも同様にこうしたことが起きる可能性はあるという事になります。

また、変化が起こる・起こらないという事だけではなく、自分が新しく何か動き始めたいと願う時、心の杖になってくれる・自信の源になってくれる、そういったものに診断士の資格はなってくれるのではないかと思います。

中小企業診断士は、大きく資格取得後に可能性が広がります。その可能性のひとつを掴んだ1人として、今日はお話しさせていただきました。皆様のご参考になったならば幸いです!

 

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